バニラエア、奄美大島で上げる反撃ののろし これが「リゾートLCC」の目指すべき姿だ
短パン、Tシャツ、ビーチサンダル。奄美大島から成田へ向かうバニラエアの機内は、海に出かけた格好そのままの乗客であふれ返っていた。若者と家族連れが中心で、スーツ姿のビジネスマンは皆無。これこそ、ほかのLCCとは異なる、バニラエアが目指す「リゾートLCC(格安航空会社)」の姿そのものである。
バニラエアは7月1日に成田国際空港―奄美大島線を毎日1往復(エアバスA320型機、180人乗り)で就航した。7月の同路線の搭乗率は8割を超えており、8月8~17日のお盆期間中の予約率は97.2%となっている。7月19日の海の日からの1カ月間は全便がほぼ満席状態。これだけの期間にわたって満席が続くのは、国内LCCでは初めてといっていいだろう。
筆者が7月下旬に搭乗した際も往路は満席、復路も残席は10席以下だった。特に奄美大島に向かう便では、海へ遊びに行く子供たちが元気いっぱいで飛行機に乗っている姿が多く見られた。LCC新規路線は就航してしばらくの間は苦戦するのがこれまでの常だったが、現在の予約状況を考えると、8月の搭乗率は確実に9割を超えてきそうだ。
4~6月は大苦戦
バニラエアは、ANAホールディングス(HD)とマレーシアのエアアジアが合弁で設立した旧エアアジア・ジャパンの流れを引き継ぐ形で、2013年12月にANAHD100%出資のLCCとして運航を開始した。が、特に国内線(成田―札幌、沖縄)の閑散期において、搭乗率は40~50%台という厳しい結果となり、打開策が求められていた。
同社の石井知祥社長は、閑散期に低迷した搭乗率について「認知度の低さ、システムの対応、短期間でのダイヤ組み替え、そして1~3月においては定時出発率が結果として(LCCを含む国内主要航空会社の中で)最低であったなど、運航の安定性がなかった」と説明する。
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