スカイマーク、A380解約騒動に続く不安 懸案事項は多額の違約金だけではない

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エアバスとの騒動は2つの意味で、スカイマークの不安材料になる。

1つは多額の違約金だ。裁判や交渉の行方次第ではあるが、収益力が低下した今のスカイマークにとって、最大で700億円規模になる損害賠償金は経営の重大なリスク。加えて不安なのが、スカイマークが羽田―福岡線を皮切りに運航を始めたエアバス製の中型機「A330」の導入計画にも影響を及ぼしかねない点だ。

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A330の最大の売りは、ミニスカ制服ではなく、ゆったり座れるシートだ(撮影:尾形文繁)

スカイマークはA330を2016年3月期までに計10機導入する計画で、これまでに3機の引き渡しが終わっているようだ。ただし、エアバスがA380に対する支払い能力を疑問視している以上、A330についても今まで通りの供給がなされない可能性はある。

A330は期間限定のミニスカートワンピース制服が話題になったものの、本質的には座席幅が広く、ゆったり座れる「グリーンシート」を配しているのが特徴。いち早く羽田―福岡線に導入したグリーンシート搭載機は今のところ搭乗率が順調で、この戦略はユーザーにも受け入れられている。もし、エアバスとのトラブルでA330の供給に影響が出ると、スカイマーク唯一の反撃材料が薄れ、収益回復シナリオも狂いかねない。

最大の魅力は羽田の発着枠

スカイマークはエアバスの提案を拒否したように、大手航空会社には頼らずに独立路線を保ちたい意向だ。航空運賃の低価格化に貢献してきたという自負がある。しかし、スカイマークにとっての最悪シナリオが進行すると、大手の傘下に入るという選択肢はまったく非現実的でもなくなってくる。

大手航空会社にとって、スカイマーク最大の魅力は羽田空港の発着枠だ。現状、羽田に空き枠はない。どの航空会社ものどから手が出るほど欲しいところに、スカイマークは36枠も持っている。

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