スカイマーク、A380解約騒動に続く不安 懸案事項は多額の違約金だけではない

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実は、“兆候”は以前からあった。スカイマークが5月15日に発表した2014年3月期の決算短信には、今年度(2015年3月期)業績予想の下に、こんな注記が付されていた。「国際線の参入を予定しておりますが、変動要素が多いため、国内線に係る業績予想のみを開示しております」。

そもそも決算発表は当初、5月8日を予定していたが、1週間ほどズレ込んでしまった。この文言を入れるかどうかについて、監査法人から指摘が入ったためだ。国際線やA380についての注記は、業績予想に関連してだけではなく、「事業等のリスク」の欄にも9行にわたって記載されている。

資金計画に生じた狂い

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エアバスの超大型機「A380」(c)AIRBUS S.A.S. 2012 - photo by S.RAMADIER

A380は6機合計の発注額が約1900億円。購入することを決めた2011年当時、スカイマークは20%近い営業利益率をたたき出し、最終損益も63億円の黒字。資金計画はこのころの業績を基に策定したものだったと見られる。

ところが、急激な円安に伴う燃油費の上昇に加えて、ジェットスター・ジャパンやバニラ・エア(旧エアアジア・ジャパン)など、スカイマークをさらに下回る運賃の格安航空会社(LCC)が台頭。復活を遂げたJALの攻勢などもあり、スカイマークの本業は苦戦している。

2014年3月期は18億円の最終赤字と、2009年3月期以来、5期ぶりの赤字に転落した。こうした本業の苦戦に加え、A380の前払いで支出がかさみ、フリーキャッシュフローは大幅なマイナス。期末時点の現預金は70億円と、1年前の231億円から激減していた。

この先も赤字が続けば、資金ショートのおそれすらある。そうした窮状が、A380の導入計画変更をエアバスに打診することにつながったのだろう。

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