中国株底入れで、ジワリ浮上する日本株

日経平均、88円高の1万5618円で終了

 7月29日、日本株とドル/円がようやくこう着状態から抜け出してきた。写真は3月、都内で撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 日本株とドル/円がようやくこう着状態から抜け出してきた。その材料の1つとみられているのが、中国株の底入れだ。景気刺激策が効果を発揮し、経済指標が上向いている。

ただ、改革半ばの中国は景気刺激策を続けていくわけにはいかず、年後半には減速する可能性もある。日本のファンダメンタルズに大きな改善がみられたわけではなく、リスクオン相場がこのまま続いていくかには疑心暗鬼な市場関係者も多い。

中国の経済指標が改善

中国株が大きく切り返してきている。上海総合指数<.SSEC>は29日までに6日続伸となり、2180ポイントまで上昇、年初来高値を更新し、昨年12月半ばの水準まで回復している。その間の上昇率は6.2%と急速なリバウンドだ。

その要因の1つは経済指標の改善にある。4─6月期の国内総生産(GDP)伸び率は、前年同期比7.5%となり、市場予想の7.4%を上回った。7月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.0と1年半ぶりの高水準となっている。

生産者物価指数(PPI)は28カ月連続で前年比マイナスとなっているが、昨年上期の2%後半から1%前半まで低下率が縮小。「過剰な供給能力や在庫の積み上がりが解消されてきた表れ」(JPモルガン・アセット・マネジメント、チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジストの重見吉徳氏)との指摘が出ている。

今年前半までに実施した財政出動と金融緩和による景気刺激策が功を奏していることが確認され、市場に広がっていた中国経済の減速懸念が後退。さらに、中国当局が景気に対して慎重な見方を崩していないことで、今後も追加の景気刺激策が出てくるのではないかとの期待感も出ている。

中国工業情報省は今月24日、一部企業が引き続き厳しい状況にあることを背景に、中国経済が下押し圧力に直面しているとの見解を示した。6月16日には李克強首相が、同国経済がかなりの下押し圧力を受けていることを認めたうえで、7.5%とした今年の成長率目標達成に自信を示している。

「改革」の進展が今後の焦点

中国政府が景気刺激策を打ち出すのは、改革がなかなか進んでいないことの表れとの見方もある。「反対派を押しとどめておくには、ある程度の経済成長が欠かせない。景気刺激策は改革が遅れていることの裏返しだ」(国内証券の中国担当エコノミスト)という。

ただ、景気刺激策をいつまでも続けていくわけにはいかない。現在の景気刺激策は公共投資を中心とした従来型の財政出動だ。このままでは、いつまでたっても投資中心から消費中心への経済構造に移行するという目的は果たせないことになる。賃金が上昇するなか、「世界の工場」としての経済モデルは限界に近い。

SMBC日興証券・投資情報室の中国担当、白岩千幸氏は「年後半には景気刺激策をストップせざるを得なくなるときが来る。そのときにマーケットがどう反応するかだ」と指摘する。

改革の進展度合いが、今後の中国経済や中国株のカギを握ることになるが、中国政府が今後「改革」に踏み込む意欲をみせているとの指摘もある。

中国の最高人民検察院(最高検)が2014年上半期に横領や贈収賄を含む汚職容疑で捜査した公務員などの人数が2万5000人以上に上った。

ロイターは中国第5位銀行の交通銀行<601328.SS><3328.HK>が民間からの出資を拡大する計画だと報道。市場が期待する「改革」の1つは国営事業の民間開放であり、期待感の高まりが、株高の背景にもなっている。

日本独自の材料に欠ける株高・円安

中国株の上昇などを原動力に日経平均<.N225>は続伸し、半年ぶりとなる1万5600円を回復した。ドル/円も102円台を回復し、三角保ち合いからの上放れの兆しをみせている。市場では「ドル/円はこう着感の強い相場が続いてきたが、ようやく動き出しそうな気配がしてきた」(マネースクウェア・ジャパンのシニアアナリスト、山岸永幸氏)。円安と日本株高の連鎖も期待される展開だ。

ただ、日本に独自の買い材料が出たわけではない。国内企業の業績拡大期待などが挙げられているが、日経平均採用銘柄の予想1株利益はまだ1035円前後で変わらず。東証1部売買代金は1兆5819億円と薄商いも続いており、「参加限定型」の上昇相場となっている。

6月の全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の実質消費支出は前年比3.0%減。下落率は前月の8.0%から縮小し、季節調整済み全世帯消費支出は前月比1.5%増と3カ月ぶりに増加した。改善方向の動きだが、実質賃金がマイナスの中で、どこまで回復できるかは不透明だ。6月の小売業販売額(全店ベース)は前年比0.6%減と、3カ月連続の減少となっている。

岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏は「上昇はしているが力強さには欠ける。銀行株の堅調さをみると、中国株市場の銀行株上昇が波及しているのではないか。日本独自の買い材料に欠ける相場であり、注意が必要だ」(国内証券ストラテジスト)と指摘している。

(伊賀大記 編集:宮崎亜巳)

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