これが「楽天エアアジア連合」結成の舞台裏だ 日本法人トップが語る"捲土重来"への布石

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7月1日の新会社設立会見で、小田切社長は古巣であるANAを連想させるブルーのシャツを脱ぎ去り、エアアジアの企業カラーである赤のポロシャツを身にまとった(撮影:尾形文繁)
ANAホールディングスとの合弁解消で一度は撤退しながらも、2015年夏をメドに再び日本の国内線へ参入することを決めた、東南アジア最大級の格安航空会社(LCC)のエアアジア。日本法人であるエアアジア・ジャパンは、楽天やノエビアホールディングス、アルペンなど、出資者に異色のパートナーを得ての再出発となった。
その新会社の社長に就いたのが小田切義憲氏である。全日本空輸(ANA)出身で、ANAとの合弁会社だった旧エアアジア・ジャパン(現バニラ・エア)時代にも社長を務めていた人物だが、両社の合弁解消に伴い、出身母体のANAを飛び出した。
合弁解消から約1年。舞台裏で何があったのか。そして、新生エアアジア・ジャパンの勝算は――。小田切氏を直撃した。

撤退直後から再参入を検討していた

――合弁解消からこれまでに、どのような動きがあったのでしょうか。

旧エアアジア・ジャパンは2013年6月にANAとエアアジアの合弁解消が決まり、同年8月に石井知祥さん(現バニラ・エア社長)と社長職を交代しました。私は引き継ぎのため、1カ月だけ顧問で残りました。

どこかのタイミングでANAに戻ることもありえたかもしれませんが、LCCというビジネスを日本にうまく入れることには価値があると思いました。数千円の運賃で飛行機に乗れるというビジネスモデルをしっかり確立すれば、もっと新しい需要を開拓できるだろうと。

そこでANAを離れることにしました。8月末で旧エアアジア・ジャパンを退職し、翌日の9月1日付でエアー・イノベーションという会社に入社しました。エアアジアが日本市場への再参入を前提として立ち上げた準備会社です。

――エアアジアは合弁解消直後から、日本市場の再参入に向けて、さっそく準備に入っていたわけですね。

そうです。エアアジアのトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)は「日本にはもう一度、参入する価値がある」と、ずっと強い関心を持っていました。そこで出資者を募ってやり直すことにしたのです。

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