週2の通塾で最難関中学に合格続出する塾の正体 「中学受験2.0」を標榜するシグマTECHの教え方

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6年の2学期以降に始まる「日曜シグマゼミ」はスクールFCと共同の志望校別対策授業。「1対1入試対策ゼミ」は過去問指導だが、実際には自学タイムで十分過去問指導ができているとのこと。月に数回、参加自由の「日曜探究講座」も催される。史跡をめぐって街を歩いたり、動物園や博物館を訪れたりする。勉強を楽しいものだととらえてもらいたい狙いがある。

教材は四谷大塚の「予習シリーズ」を使用する。ただし毎週末に行われる週テストは受験しない。5年生以降は月例テストを行う。模試は、志望校レベルに応じて四谷大塚の「合不合判定テスト」と「サピックスオープン」を使い分ける。

活発で自由なやりとりがある楽しい授業

1コマの授業時間が短いので、授業はさぞかし駆け足なのだろうと思ったのだが、教室を覗いてみると意外にも生徒たちがゲラゲラ笑っていた。たとえば5年生の国語の授業で、「怒り」をテーマにした文章読解でのやりとり。

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生徒:先生は塾で本気で怒ったことある?
講師:あっ、面白い質問だね。ちょっと雑談しようか。
生徒一同:イェーイ!
講師:怒ると叱ると違うでしょ。叱るっていうのはよくあるんだけど、あるときに興奮した生徒から殴りかかられそうになって、咄嗟に「やってみろ!」って怒鳴ったことがある。完全に感情と感情のぶつかり合いだよね。結局その子も落ち着きを取り戻してくれて殴られなかったけど。「ああ、良かったぁ」と思った。
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「怒ったことある?」と質問するということは、彼らは塾で怒られたことがないことを自覚しているわけだ。

また、社会の授業では地球環境サミットに関連して、「先進国がいままでさんざん環境を破壊しておいて、発展途上国には環境保護の条約にサインさせるなんて、どの口が言うているの?って話だよね」と問いかける。単に単語を覚えさせるのではなく、本質を考えさせている。これぞ中学受験塾の授業である。

短時間に圧縮するからといって、ただ1.5倍速の授業を押しつけるのでは大人の自己満足だ。1倍速あるいは0.9倍速の授業でも十分な成果が得られるように、極限まで無駄をそぎ落とした授業をしているわけである。

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