(第3回)採用した人は一人の脱落者も出さないよう大事に育てる【資生堂】

(第3回)採用した人は一人の脱落者も出さないよう大事に育てる【資生堂】

 国内化粧品業界トップシェアで圧倒的に強いブランド力を持つ資生堂。中国をはじめとした海外戦略でも注目されています。

 今回はこの資生堂の採用をマルハダカにします。

※会社/採用データは、インタビューの後に掲載しています。


--先日発表された就職人気企業ランキング速報で総合1位でしたね(※1)

深澤晶久氏  これから就職活動を本格的に始める学生の皆さんに、就職先の対象として高い関心を持っていただいていることを、率直に感謝しています。私たちのビジネスはB to Cであり、学生の皆さんは直接商品を手にとっていただいているお客さまでもありますから、二重の意味でうれしいですね。
 化粧品・トイレタリーといった商品の性格上、女子学生さんからの人気は以前から高かったのですが、最近では男子学生さんからの関心も高まっているようです。男性も普通におしゃれを楽しむ時代になってきたからでしょうか。それでもまだ資生堂は女性の会社だという先入観を持たれがちなので、今後はさらに男子学生さんの関心が高まってほしいと思っています。
 ただ、人気が高い現状に単に満足するのではなく、その理由をしっかり見極めたいと思います。もしそこに私たちが目指しているものが欠けているとすれば補っていかなければならないと思っています。

--人気が上がっている原因をどう分析しますか

 このランキングは学生の皆さんが本格的な就職活動を始める前のアンケート結果ですので、商品や宣伝のイメージが企業イメージに重なっているところが大きいのではないかと思います。
 当社は現在3つのビジョン「100%お客さま志向の会社に生まれ変わる」「大切な経営資源であるブランドを磨き直す」「魅力ある人で組織を埋め尽くす」を掲げていますが、その中の「ブランドを磨き直す」という部分では、2005年からメガブランド戦略を実行してきました。選び抜いたブランドに整理統合し強化したことで、TSUBAKI、マキアージュ、ウーノといった強力なブランドが育ってきました。そういった商品に学生の皆さんが触れ、今まで以上に元気がある会社だと思ってくれたのかもしれません。

   また、女性の働きやすい会社という情報がマスコミなどでよく取り上げられていましたので、それが学生の間にも行き渡ってきているのではないでしょうか。もちろん現状が満点だとは思っていません。女性がより生き生きと働くために解決すべき課題はまだあると考え、取り組んでいます。もちろん、男性もです。

--採用人数をお聞かせください

 新卒採用(既卒も可)は、2008年度採用(2008年4月入社予定)で約120名の内定者がいます。約80%が事務系、約15%が技術系、残りがデザイン系です。中途採用は定期的には行っておらず、専門的なスキルが要求される職種で必要が出てきた時に募集しており、年間でも数名程度です。
 新卒は総合職として採用しますが、総合職を7つの分野に分け、分野毎に異動・ローテーション・研修を実施しながらプロフェッショナル人材に育てていきます。ゼネラリストとしてのベースを持ちながら同時にスペシャリストになってもらうという方針です。

--新卒採用中心で、中途採用は少ないんですね

 資生堂では、新卒で採用した人を大切に育てて長く勤めてもらうように育成しています。離職率は新卒採用で過去3年間入社者512人のうち退職したのは9人、1.9%という数字です。私たちはこれを低いとは考えておらずさらに下げたいと思っていますが、入社3年目で30%、40%が退職するという世間の数字をみれば、圧倒的に低いと言えます。

 理念、文化といった伝承すべき企業の遺伝子をしっかりと受け継ぐためには、新卒で採用し、入社時からしっかりとした教育を施すことが重要だと私たちは考えています。実はそれが社員を定着させることにもつながるのです。仮にCMや商品のきれいなイメージが先行してしまって入社した人がいたとしましょう。実際の仕事は泥臭い部分もたくさんあります。その人の理想としていたものと現実とのギャップで、当然ショックを受けるでしょう。しかし、その人が企業としての確固たる根っこ、根幹の部分を理解し自分の中に持っていたとしたら、その仕事の意義を一段高い位置から見ることができ、ハードルを乗り越えることが可能になるのです。


(※1)週刊東洋経済2007年11月17日号掲載「速報・就職人気企業ランキング」(2009年卒予定大学生、大学院生にアンケート調査)にて、資生堂は総合1位、女子1位、男性28位。
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