ジャパネット、名物社長が引退を決めたワケ 創業29年目で高田社長から長男にバトンタッチ

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来年1月の社長退任を決めた高田社長。テレビには引き続き出演する予定だ

突然の退任宣言である。通販大手のジャパネットたかたは、高田明社長(65)が退任し、後任に長男の旭人副社長(35)が就く人事を固めた。創立29周年に当たる来年1月16日付で交代する見通しだ。高田社長は退任後、会長に就く予定はないもののテレビ出演は続けるという。

引退回避からわずか半年で退任決断

高田社長にとって2013年度は「覚悟の年」だった。ジャパネットの売上高は10年度の1759億円をピークに、12年度は1170億円へ急縮小。薄型テレビをはじめとする家電販売の苦戦を受けて、業績が低迷していた。現状打破に向けて、高田社長は勝負に出る。12年8月に東京オフィスを開設し、六本木の高層ビル内に大掛かりなテレビスタジオを設置。そして「13年度に最高益を達成できなければ社長を辞める」と公言し、東京オフィスの責任者に据えたのが旭人副社長だった。

同時に長崎・佐世保の本社にいたバイヤーの9割を東京へ移し、すべての商談を旭人副社長が見る体制に変更。東京ではインターネットと24時間体制の BS/CS放送の専用チャンネルを担当し、佐世保ではカタログやチラシの紙媒体とラジオ、地上波を担当する2拠点体制に変えた。結果、2013年12月期 は最高益となる154億円を更新して高田社長の続投が決まった。

にもかかわらず、わずか半年後に退任を宣言した背景には、構造改革にメドがついたことが考えられる。売上高に占める家電比率は12年度8割だったが、13年度は5割まで引き下げる目標を掲げていた。

詳細な数値を会社側は公表していない が、従来から得意としてきたデジタルカメラやテレビ、パソコンといったデジタル家電を大幅に絞る一方で、クリーナーやエアコン、冷蔵庫といった白モノ家電 を増やす戦略が奏功したようだ。さらには新カテゴリとして設けた「衣食住」分野で、健康器具や食品といった製品群を増やしたことも寄与したと見られる。

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