ベネッセの情報漏洩、利用者に為す術なし? 子供の名前、生年月日、性別も漏洩した

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もっとも、大量の情報漏洩が公表されたことで、ベネッセの情報であることを認識した事業者が保有するデータ利用を控えるようになれば、情報の拡散は限定的になるとも考えられるが、実態は不明だ。

プライバシーに係る情報を侵害されたとして、ベネッセに対して訴訟を起こし、慰謝料を請求するという手立てはある。しかし、過去の情報漏洩に絡む判例を見返すと、個人情報に関わるプライバシーの侵害として認められた慰謝料の相場は、5000円から5万円。これでは弁護士費用はとても賄えない。

原田社長(右)は情報漏洩に伴うダメージをどのように回復するか

今回の情報漏洩を不快に思い、個人情報の削除をベネッセに求めると、そもそものサービスが受けられなくなる。過去にベネッセのサービス会員で、幸いにも今回の情報漏洩には該当しなかった人は、リスクヘッジとして個人情報登録の削除してもらうという措置はとれるだろう。

個人情報保護法に詳しい金井高志弁護士は、「この法律は、第1条で『個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする』と規定している。個人のプライバシーを守りながら、ビジネスで個人データをどう使うかという2つのバランスについての議論は常にある」と話す。

ベネッセの一件は全容解明に時間がかかりそうだが、未成年の情報が大量に漏洩したことで、今後、個人情報保護の在り方について議論が高まる可能性もありそうだ。

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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