コロナ禍も「生活保護は嫌」申請者の葛藤と現実 素直に申し出る人は2割、自治体の対応にも問題

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生活保護の制度や実態について解説します(写真:タカス/PIXTA)
厚生労働省の発表によれば、2020年12月に生活保護の受給を開始した世帯は、1万7272世帯。長引く新型コロナウイルスの影響で、微増の傾向にある。しかし、生活保護にまつわる疑問は、さまざまあるが、詳しくわからない人のほうが多い。
生活保護ってなんだろう? 申請ってどうやるの? 20代でも申請してもいいの?
そこで生活保護行政に15年以上携わってきた、生活保護問題対策全国会議事務局次長の田川英信さんに、「生活保護の基本のキ」を聞いてみた。

「今晩泊まるところがない」とSOS

田川さんの1日は、メールを読むことから始まる。新型コロナ災害緊急アクションの相談フォームに寄せられたメールに目を通し、詳細を聞き取り、連携する支援団体につなげていく。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

――寄せられている相談はどういうものが多いですか。

田川「メール相談ということもあり、20〜30代半ばまでのかたの相談が多いです。女性も2割ほどいます。そしてSOSを出されるかたの所持金は、ほとんどが1000円未満です。

昨日も夜7時にSOSしてきた男性は、『今晩泊まるところがない』といいます。事務局の瀬戸大作さんが動いてくれて、新宿で9時に待ち合わせて、ホテル代と当面の生活支援金を渡しました。そうでなければ路上で一夜を過ごすことになったと思います。後日、生活保護申請につなげる予定でいます。

また別のケースでは早朝4時にメールがきて、私から7時に返信したのですが、その後全然応答がなくて……。携帯は止められていて連絡がつきません。Wi-Fi環境があるところでしかメールが送受信できないらしいのです。

そこで『Wi-Fiのあるところで待っていて下さい』とお願いして、やっと連絡が取れるようになり、瀬戸さんに対応してもらった。毎日、綱渡りの連続です」

次ページ「生活保護を受けるなら死んだほうがマシだ」
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