エルメス、ルイ・ヴィトンの稼ぎ頭とは? 高級ブランドを支えるアイテムには共通点がある

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高級ブランドの代表格、エルメスとシャネル(写真:ロイター/アフロ)
  おしゃれに着飾ったモデルに派手なセレブ、ファッションピープルであふれるにぎやかなパーティ……。映画や雑誌で見るファッション業界の華やかなイメージは、人々を魅了してやまない。一方で、そのきらびやかなイメージの裏には、業界の戦略やしたたかな仕掛けが存在する。ファッション業界の舞台裏を解説。
 同シリーズ最終回の今回は、高級ブランドの経営のカギについて一緒に考えていきましょう。

 

先日、とあるイベントにて、誰もが知る某高級ブランドのジャパン社社長のお話を伺う機会がありました。いくつか印象に残った言葉のひとつに、「潤沢なキャッシュフローにより無借金経営ができている」というものがあります。

世界の高級ファッションブランド業界で、つねにトップ1、2にいる同ブランドは、世界のあらゆる都市で展開し、まさに全世界で愛されているブランドです。日本でも、銀座の一等地に自社ビル兼路面店を構えています。そして、毎シーズン、すばらしいクリエーションでモード界を牽引していますが、ファッションブランドとしての優越性に加え、経営面でも非常に優れた会社であることを再認識しました。ちなみに、このブランドの香水は「世界中の香水の中で、これまで最も売れた香水」としても有名です。

ということで、今回は、成功している高級ブランドの成功の秘訣についてお話したいと思います。

「もっとバッグを売ってくれ!」

筆者が、以前MD(マーチャンダイザー)として働いていたときの主な仕事は、既製服(以下、RTW=ready to wear)の買い付け(仕入れ)から商品が売れるまでを分析、管理する仕事でした。そして、その当時の社長に言われたことで忘れられないのが、「もっと(バッグ、靴、革小物などの)アクセサリー類を売るように」との指令でした。

その当時、そのブランドはRTWがとてもよく売れていました。全体の売り上げでみると、構成比はRTWが7~8割、アクセサリーが2~3割という構成でした。RTWの担当者としては大満足の結果ですが、会社としてはもっとアクセサリーを伸ばしたいという意図がありました。

「アイコニックなバッグがある高級ブランド」と言われてぱっと思いつく代表的なブランドに、手に入らない高級バッグの伝説を生んだエルメス、キルティングのバッグがアイコニックなシャネル、モノグラムのバッグを世界中に広めたルイ・ヴィトンなど、他にも多数のブランドがあります。

正確な売り上げ構成比はそれぞれ異なりますが、これらのブランドに言えることは、バッグや革小物(以下、SLG=small leather goods)などの皮革製品が、売り上げの大半を占めているということです。会社によってその比率は異なりますが、6~8割はバッグ(SLGを含む)で、残りがRTWという構成です。

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