中小企業のための退職金制度とは? あなたにも出来る!社労士合格体験記(第78回)

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わが家のイノッチ

4月には50歳の大台に乗る年齢です。仕事は面白そうですが、これからまったく新しいことに挑戦するのには一抹の不安もあります。私は家族に対して、試験に合格しなければ何も始まらないと言ってきました。その試験に4年もかかってようやく合格したのです。でも、裏を返せば合格した以上は何かを始めなければいけないわけで、背水の陣ともいえます。

ところが、ノー天気で前向きな妻は「日本地図を完成させた伊能忠敬も50歳から修行を始めたのよ。これからはわが家のイノッチと呼ぶわ」となんだか自慢気でした。

調べてみると確かに、「1794年(寛政6年)12月、50歳で家督を長男景敬に譲り隠居。翌年江戸に出て、江戸幕府の天文方・高橋至時に師事し、測量・天文観測などを修めた」とあります。この修行を経て彼は56歳から実際の測量を開始することになるのです。

妻の一言でプレッシャーから解放され、転職の決断を固めました。NHKの仕事は5月で退職し、新しい会社へのフルタイムでの出勤は6月開始。それまでは月・火曜のみのアルバイトですが、これで2カ月間は休みなしの二足のわらじ生活の始まりです。まさにチャンスは突然やってくるもので、あれよあれよという間に状況は一変してきました。

中退共が従業員の退職金を支払う

ところで、私が勤めることになる新しい会社は中小企業退職金共済(中退共)の制度に加入していました。中退共制度は、昭和34(1959)年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度で、独立行政法人勤労者退職共済機構が運営しています。

目的条文、法1条では「この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もつてこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与すること等を目的とする」と規定されています。

この制度では事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛け金を金融機関に納付します。従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われるので安全性が確保されるのです。

また、事業主にとっても掛け金を損金で落とせるため税金対策上有利な面もあります。試験的には掛け金に労働者負担はない点と、退職金が事業主に支給されることはないことを押さえておきましょう。

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