東北が日本を支える。『紙つなげ!』を読む

日本製紙石巻工場、震災と再生の記録

日本製紙石巻工場の様子(撮影:岡田広行、2011年10月8日)

今ここに、数冊の文庫本がある。角川グループパブリッシング発行、どれも2011年3月以降に印刷されたものだ。私の目には、他の文庫本とそれほど違いはないように見える。軽く、柔らかい文庫本。しかし、印刷された物語とはまた別の、ある物語を秘めた本。今ここにあるこの本は、もしかしたら未曾有の大震災を奇跡のように生き残った紙で作られたものかもしれないのだ。

2011年3月11日、14時46分。東北地方を襲った地震と津波。いわゆる東日本大震災は、宮城県石巻市に大きな被害をもたらした。石巻市の当時の人口は16万2822人、総務省統計局によれば津波による浸水範囲内人口は11万2276人、石巻市の発表した震災による死者は3270人、行方不明者は436人。数字で見るだけでも、恐ろしいことが起こったとわかる。そしてこの震災は、石巻市にあった日本製紙の基幹工場である石巻工場にも、壊滅的な被害をもたらしていた。

敷地の南側を太平洋岸、西側を工業港、東側を旧北上川と囲まれた石巻工場は、地震後、三方から巨大な津波に襲われた。約33万坪の敷地に水が押し寄せ、周辺から家屋や瓦礫、車、そして人、あらゆるものが流れ込み、覆い尽くした。総務課や守衛に誘導され避難した従業員からは、非番の者を除いて被害者を出すことはなかったが、水に浸かった工場を見て、誰もがもうだめだ、と思ったという。

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