不意の『ゼクシィ』襲来!…が起こるワケ “結婚式なら”つねに一人勝ち、圧倒的な強さの秘密

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二郎系ラーメン好きの男ならいようけれど……

ゼクシィ』。重量感たっぷりの冊子から、付録がこれでもかと溢れだすそのさまは二郎系ラーメンを思わせる。二郎好きの男ならいようけれど、この雑誌を好きな人はそうはいない。この鈍器が不意に部屋に置かれていたとき、人はそれを「ゼクシィテロ」と呼ぶというのだから、穏やかではない。

これがテロになりうるのは、女性はもちろん男性も、この雑誌が結婚を意味することを十分すぎるほど知っているからだ。今や日本における結婚は『ゼクシィ』なくしてはありえない。この襲撃を受ける前に政治的決断を果たした男性も、どうせこの雑誌に頼らざるをえないということが、現実をよく説明している。

『ゼクシィ』はなぜここまで信頼されているのか。その謎を解くべく、この4月に編集長(首都圏版など)に就任した神本絵里さんにお話を伺ってきた。

『ゼクシィ』首都圏版などの編集長を2014年4月より務める神本絵里さん

彼女が挙げた編集の大方針は二つ。花嫁さん視点に徹すること、そして結婚式なら『ゼクシィ』というイメージをつくることだ。

特に前者については、伊藤綾・統括編集長が2006年に首都圏版の編集長になったころから、変化が著しい。

同年には『ゼクシィ』を利用して結婚した花嫁たちを集めた「花嫁1000人委員会」という組織が生まれ、企画を立てるときには彼女たちに意見を聞くこともあるという。『ゼクシィ』は編集部が主導する商業誌というより、この花嫁たちのコミュニティをつなぐ雑誌になりつつあるようだ。

聞けば、近年、結婚式は花嫁主体のものから、周囲を巻き込むものへと変わってきたという。『ゼクシィ』が結婚式を媒介として、結婚の潮流に敏感に反応するのは当然のこと、そういう目でバックナンバーを見直してみると、たとえば『父母ゼクシィ』を投入すると同時に、『親想いゼクシィ』という、親のホンネを理解しようという付録を登場させている。

これは一方では、親との協力を強調しているように見えて、その実、子どもたち主体の結婚式という時代の雰囲気をも語っている。友人たちと共に自分たちの結婚式をつくるようになったからこそ、親たちとの関係の切り結び方をサポートする必要が生じたと言えるのだ。

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