ANAマイル特典にバニラエアが入ったワケ 7月からLCCの特典航空券へ交換開始

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エアアジア・ジャパンから生まれ変わった、バニラエアの機体(撮影:尾形文繁)

ANAの場合は、米ユナイテッド航空や独ルフトハンザドイツ航空、シンガポール航空、タイ国際航空などで構成するスターアライアンスに加盟している海外航空会社のほか、国内では、ANAHDが大株主で、共同運航(コードシェア)の関係にもあるスターフライヤーやAIRDO、スカイネットアジア航空といった新興エアラインとも、マイレージで提携している。

ただ、同じグループとはいえLCCの特典航空券をマイル交換できるサービスを導入するのは、ANAとして初めて。背景にあるのは、バニラの苦戦だ。

大量欠航が追い打ち

バニラはこの6月に国際線を含めた全便の2割に当たる国内線154便を欠航。原因は、機長の採用が思うように進まない中、想定以上の退職者が発生したことだ。これを受け、ANAは出向者を派遣。バニラは病欠者の復帰などもあり、7月以降は必要な機長数を確保し、従来計画に沿った運航を予定している。

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昨年12月の就航会見での石井知祥社長(撮影:尾形文繁)

そもそも、バニラの2014年4月の搭乗率は51.8%。LCCの場合は7~8割の搭乗率を確保しないと採算が合わないが、その水準を大きく下回っている。また、前述の欠航便に予約を入れていた乗客は1便当たり17人弱と、6月の平日ダイヤは5月中旬時点で、機材キャパシティの1割程度しか埋まっていなかった。

別ブランドとはいえ、ANAグループにとってバニラの不振は放置できない問題。今回の特典航空券のマイル交換の裏側には、ANAの顧客ネットワークを活用して、バニラのブランド認知を図っていく狙いがありそうだ。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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