ブロンコビリー、毎月の泊まり込み合宿が外食屈指の高収益を生む《ものすごい社員教育》
名古屋駅から地下鉄、バスを乗り継ぎ東へ約45分。大安寺というお寺の宿坊が、ステーキチェーン「ブロンコビリー」の合宿研修場だ。
1泊2日で行われるこの研修「経営改革委員会」は、約200人の全社員を「店長」「2番手社員」「3番手社員」に分けて、各グループごとに毎月開催される。つまり、全社員が3カ月に一度は泊まり込み合宿のためにこの宿坊に集まる。
ブロンコビリーは愛知県が地盤。全63店のうち34店が愛知県内に集中する。しかし23店は三重県、岐阜県、静岡県。首都圏にも6店ある。にもかかわらず、合宿研修は1カ所で実施する。
一時期の経営不振を乗り越え、2007年11月にジャスダックに上場。売上高は09年12月期80億6300万円と小粒ながら、過去5期の経常利益率は12~17%。外食業界では上位3社に名を連ねる高収益企業に育った。これを支えているのが、濃密な社員教育だ。
研修ではいったい何が行われているのか--。3月上旬、同社の全店長が参加した「経営改革委員会」に密着した。
初日は朝9時から翌日18時までビッチリ
初日は朝9時から。その10分前には全員がそろう。竹市靖公社長到着後、まず行うのが経営理念の斉唱だ。「今日1日ど真剣に誰にも負けない努力をします!」。一人が声を張り上げ、ほかの全員が呼応して同じ内容を斉唱する。耳がジンジン鳴り響くほどの大声が約3分間続く。
次は社長の講演で、午前中はこれがメインだ。3時間近く、外食業の基本などを諭すように語る。「信者を作りなさい。それが『儲』けにつながります」「『馬』が『走』って取りに行くほどのご馳走を提供しましょう」など、ユーモアを交えた話も飛び出す。耳を傾ける店長たちの表情は、まさに“ど真剣”。一言たりとも忘れまいと、必死にメモを取る。