年収1000万「ワークマンフランチャイズ」の内情 狭き門FCのオーナーになるための「5つの条件」

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褒賞金は2年目からが対象となるため上尾日産通り店はまだ対象外だが、すでに前年比120%で推移しているため、来年は確実に受け取ることができるだろうと、楠本スーパーバイザーは語る。

「サラリーマン時代に比べて、すでに月の手取り収入は2倍になっています。サラリーマン時代はいつも家計を気にしており、子どもの洋服はできるだけ安いものを買おうとしたり、外食も高いものは頼まないように家族に制限をかけていました。今は、家族に我慢を強いることが減り、幸せです。私自身、家計の問題で大学に進学できなかったのですが、子どもにはそのような思いをさせずに済みそうです」と長島店長。

「ワークマンのFCになって、将来に希望が持てるようになりました」とワークマンプラス上尾日産通り店の長島店長夫妻(筆者撮影)

美香さんも、「家計に潤いができ、子どもの将来にも希望が見えてきました」と明るく笑う。職人相手なので朝は早いが、通常閉店後に行われるレジ精算作業は昼の12時に行うので、20時の閉店後は5分で帰宅でき、家族と一緒に食事がとれる。自宅が近いので、子どもの運動会や授業参観は中抜けして見に行ける。家族との時間が増え、夫婦の会話も増えたという店主も多い。

ワークマンのFCは、売り上げ目標はあるがノルマがない。だから、減点主義ではなく加点主義。頑張った分だけ自分に跳ね返ってくる。やりがいがある、と長島店長は語る。「やるからには埼玉県で一番店になりたい。スーパーバイザーから成功店の情報を教えてもらったり、社内報で商品情報を得て工夫したり、妻やパートさんに協力してもらって女性客を取り込んだりと、やることはたくさんある。まだまだ伸びると信じています」。

「#ワークマン女子」店は1000店舗規模を目指す

ワークマンは10年後のビジョンとして、「#ワークマン女子」店を400店、「ワークマンプラス」店を900店、従来型の「ワークマン」店を200店、合計1500店舗体制を想定している。時期は未定だが、#ワークマン女子は最終的に1000店舗規模にしたい意向だ。

神奈川県横浜市の#ワークマン女子コレットマーレ店(写真:ワークマン)

コンビニのように自社競合が増えると懸念する向きもあるが、「まだまだワークマンを知らない、ワークマンに行ったことがない人は多いです。当面、ワークマン女子はショッピングセンターを中心に直営店として出店していきますが、成功すればロードサイトFC店としての出店もありえます。ワークマン女子店ではワークウェアは扱いませんが、ワークマンプラス、ワークマン店にはワークマン女子と同じものが置いてあるので、ワークマン女子店でワークマンを認知し、次はより自宅に近いワークマンプラス、ワークマン店に見に行く、という良い循環が生まれるでしょう。まだまた市場開拓の余地は残されているのです」(八田部長)。

ワークマンは大都市中心部への出店はなく、ロードサイドも空白エリアが多く残されている。今は人口10万人エリアに1店舗の出店政策だが、「#ワークマン女子」が成功すれば5万人エリアに1店舗への変更もありえるという。ワークマンフランチャイズオーナーになるチャンスはまだありそうだ。

近藤 克己 フリーライター

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こんどう かつみ / Katsumi Kondo

1966年生まれ。福島県出身。明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒。ロジスティクス分野の業界紙記者、IT&家電製品の月刊誌記者・編集長を経て、独立。現在、フリーライターとして活動中。得意分野は流通、物流、生活家電。

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