改革はいつ終わるのか、平井ソニーの再挑戦 2期連続の最終赤字、汚名返上へ課題は多い
「成長に向けた戦略の中身がまったくない」。5月22日に開かれたソニーの経営方針説明会。平井一夫社長のスピーチを受け、同社OBの一人はそう吐き捨てた。
ソニーの凋落が止まらない。5月14日に発表された2013年度業績は、期初計画で掲げた営業利益2300億円を大きく下回る264億円で着地。最終損益も、期初に500億円の黒字計画を掲げていたが、1283億円の最終赤字となった。
経営方針説明会で、平井社長は就任時に掲げた14年度の売上高8兆5000億円、営業利益4250億円という目標を事実上撤回。「環境変化への対応力、スピードが不足していた」と反省の弁を述べた。今年度は営業利益1400億円、最終損益は500億円の赤字になる見込みだ。
「何も最近悪くなったわけじゃない。ハワード・ストリンガー前会長時代の無策が今の苦境につながっている」。現役の社員からは歴代経営陣の責任を問う声も上がる。だが、平井社長が、「13年度にテレビ事業を黒字化する」などと意気軒昂に宣言したものの、未達に終わり失望を買ってきたのも事実だ。
詰めの甘い計画
業績の足を引っ張っているのは、全体の売上高の約7割を占める、エレクトロニクス(以下、エレキ)分野。中でもテレビは、目標に掲げた販売台数から遠く、10年連続で赤字を計上。平井社長は「よい商品を出し続けたが、それをサポートする事業部、本社、海外販社のコスト構造がビジネスの規模に合っていなかった」と言う。
タブレットの普及で市場縮小が続くパソコン(PC)も、13年度は販売台数を2度、下方修正。黒字化は果たせなかった。
さらに注力分野と位置づける、モバイル(スマートフォンなど)、ゲーム、イメージング(デジカメなど)のコア3事業についても、利益面で計画を達成できなかった。吉田憲一郎CFO(最高財務責任者)は、「売り上げ増加に解を求めたことが、最大の反省材料。計画に詰めの甘さがあった」と認めた。
株式市場の評価は冷ややかだ。決算発表の翌日、ソニーの株価は約6%下落した。現在の時価総額は約1.7兆円。同時期に業績不振に陥り、今期黒字化を果たしたパナソニックの2.6兆円と比べると、大きく水をあけられている。
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