山手線新駅から読み解く品川再開発の行方 13ヘクタールに及ぶ大規模再開発の中核が明らかに

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新駅の建設予定地

この新駅は、JR東日本が周辺で進めている再開発の中核となるものだ。新駅ができる場所は現在、約20ヘクタールにも及ぶ品川車両基地があるが、この車両基地の設備や車両留置箇所を見直すことで、13ヘクタールの土地を再開発用地として捻出。今後、まちづくりが進められていく。

コンセプトは、国際的な交流拠点、歴史・文化が感じられ、自然豊かなまちづくり。詳細は今後発表する予定だが、1年程度の時間をかけて行政機関などと協議を進めながら、道路などの都市計画の素案を作っていく方向だ。

JR東日本はこの再開発をソフト、ハードの両面で一体的かつ効率的に進めていくため、6月24日付で品川・大規模開発部を新設し、万全の体制で取り組む。

サウスゲートの整備は加速するか

折しも、国や東京都、関係区などの間では、新駅が位置する品川・田町周辺エリアを「サウスゲート」と定義し、東京と日本の玄関口にふさわしい都市をつくる再開発構想が進められている。すでに、都は2006年に「品川周辺地域都市・居住環境整備基本計画」を策定。07年には、それに基づき優先整備地区の方向性を示した「品川駅・田町駅周辺 まちづくりガイドライン」をまとめた。

品川駅をまたいで東西を移動する場合、大きく迂回する必要がある

現在、品川駅周辺は東西の往来が不便で、自動車で移動する場合、大きく迂回することが必要となる。都などが進める再開発計画では、高輪台方面から環状4号線(外苑西通り)を延伸して海側の芝浦方面へ抜ける道路など、東西を結ぶ道路の整備が項目として掲げられている。

新駅設置が発表されたことで、こうした周辺地域の再開発も今後、具体化していくと予想される。品川駅はリニアの始発駅となり、また羽田空港とのアクセスがよいことから、交通の拠点として重視されていくだろう。品川駅周辺には、京浜急行やプリンスホテルを擁する西武ホールディングスなど、私鉄が保有する不動産も多い。各社の思惑をうまくすくい上げながら、まちづくりを進めることができるか。その輪の中心にいるJR東日本の腕前が試されそうだ。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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