以前、ファッションショーについての記事で、日本にも、東京コレクション(以下、東コレ※)と呼ばれるファッションウイークがあることをお伝えしました。※ 現在、東コレには約50近いブランドが参加しており、渋谷エリアなどを中心に展開。
そんな東コレの中で、ひときわ人気の高いブランドのひとつに「アンリアレイジ」があります。正直なことを言うと、読者の皆さんで、このブランドをご存じの方はとても少ないと思います。ですが、そのずば抜けたアイデアと表現力で、今、日本のファッション業界のみならず、世界的にとても注目を集めているブランドです。
いったいなぜ、彼らは注目されているのでしょう?
アンリアレイジの“破壊的クリエーション”
その理由は、彼らの服作りのアプローチにありました。彼らのコレクションは、洋服を取り巻くさまざまな概念を壊し、新たに再構築する、というアプローチをとっています。
たとえば、AW13 のColorというコレクションでは、”色”という概念を壊し、服から色を取り除きました。それは、つまり白い服なのですが、その服に、後から色を加えました(=再構築)。
しかし、どうやって?
元来、色のついた服にするには、糸を染めるか、製品を染めるか、のふたつにひとつの選択肢しかありません。
そこに、彼らは”光”(厳密に言うと、紫外線)というまったく新しいものをもってきました。”光”を当てることで、色を浮かび上がらせるという仕掛けを用い、今までにない“色”の演出をしました。舞台上の白い服が、瞬時に色のついた服に変わるという、マジシャンさながらの変化に多くの人が驚きました(冒頭の写真、詳細は後編で)。
彼らの服は、一見、ただの洋服にみえても、その背後には新たな価値を生みだすストーリーが存在し、同時に斬新な驚きも与えてくれます。その驚きこそが、まさに彼らならではのアプローチです。そして、この新しいクリエーションが、世界中のファッションピープルの心をくすぐっているゆえんなのです。
さて、前置きが長くなりましたが、今回から2回にわたり、そのアンリアレイジのデザイナー、森永邦彦氏のインタビューをお届けします。前半は、洋服の仕事につくと思っていなかった森永氏が、大学に入って服作りを始めるきっかけとなった意外な出来事や、ブランド設立までのお話を中心にお伝えします。
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