楽天がカフェ運営の先に見据える野望 渋谷のリアル店舗でネットの人気スイーツを提供

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店内では電子書籍端末「コボ」が無料で使える

支払いには、楽天カードや電子マネーの楽天Edyなどが使用可能。楽天カードで支払うと、コーヒーと紅茶が半額になる特典もある。席についたまま、スマホ決済サービス「楽天スマートペイ」によってカード支払いをすることもできる。

また、店頭にはコンシェルジュが常駐。カード、銀行、証券、生保など楽天が展開する各種サービスについて、解説役を務める。

リアル店舗でネットの不安を払拭

それにしても、ネット大手の楽天がなぜリアル店舗を出店することになったのか。実は、同社とリアルとの接点は過去にもあった。全国の百貨店で開催した物産展「楽天市場うまいもの大会」だ。

この催しでは、楽天市場の人気商品に1時間半を越す長蛇の列ができ、催事売り上げの過去最高を更新するほどの盛況を記録してきた。ネットで買えば、雑踏で揉みくちゃにされることなく、翌日には商品が手に入るにもかかわらず、客はリアルイベントに引き寄せられたのである。

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コンシェルジュが楽天のサービスについて解説してくれる

これを見た中島謙一郎・常務執行役員は「やはりリアルの安心感は大きい」と分析した。実物を見ることができないネット通販に不安を感じる人が多いのであれば、実際に手に取り、舌で味わってもらえばいい。そんな結論から生まれたのが、楽天カフェだった。

「ネットサービスに対する不安感をなくしてもらい、新しい気づきを提供したい」と、中島常務は語る。今後は1号店の状況を見ながら、多店舗展開も検討していく。さしあたっては、楽天が2015年夏に本社を移転する予定の二子玉川に、小規模な楽天カフェを出店する予定だ。

買い物、銀行などリアルの世界で行われてきたことをネットで展開してきた楽天が、リアル領域の強化を進めている。今秋には、リアル店舗でも楽天スーパーポイントがたまる共通ポイントサービスを始める。はたして楽天は、ネットの世界のみならず、リアルの世界でも強烈な存在感を放つようになるのか。楽天カフェはその試金石となりそうだ。

(撮影:尾形文繁)

長谷川 愛 東洋経済 記者
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