なぜ日経平均は2万4000円を突破できないのか モミ合いの後にやってくる「大相場」のつかみ方

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ここで、われわれがしっかり考えなければならないのは、コロナと株価の関連度だ。すでにほとんどの人が気づいているように、コロナの影響はサービス業だけを見たら大変な「不況」で、1920年代の「恐慌」のようだという業界関係者も多い。しかし、サービス業を支援することで、市中には今まで経験したことのない大規模な資金流入が起こり、コロナによる新しい流れで逆に「好況」になっている業種もまた多い。

これを相場から見ると、不景気に対応する資金供給で「不景気の株高」現象になっているのと同時に、好業績企業が主導する「材料株・業績相場」が同時に起こっていると言える。

それならなぜ、何度挑戦しても2万4000円台のモミ合いを抜けきれず、上がりそうで上がらない「弱気相場」になっているのか。   

それはひとえに今まで経験したことのない「新型」コロナへの恐怖心だ。ならばこの恐怖心が取り払われれば株価は上に行く可能性が高まると考えるのは理の当然となる。治療薬やワクチン情報に一喜一憂する今の相場は、その意味では「正常な相場」だ。

優れた投資家にならい、余裕をもって構えよう

したがって、治療薬やワクチンが完成して新型コロナウイルスが「ただの風邪」に近づくときが株価暴騰の時で、その後、市中への資金の流れが途絶える時が株価暴落の時だと言える。

おそらく優れた投資家は、その時間差による買いと売りで大きな利益を上げようとじっと待っているような気がする。

上げとその後にくる下げのダブルで儲けるか、上げで踏み上げられ、下げで投げさせられる「往復びんた」で敗れるか、しっかり考えるべきところだ。

筆者は、余裕を持ってゆっくり構えるのがこの相場に付き合う唯一の方法だと言ってきた。読者にとって、「我慢、我慢」と言われることはもう聞き飽きたと思うが、筆者も言い疲れた(笑)。

ただ、資金の流れが変わらなければ、強気の「需給相場」の考えは変わらない。そして、コロナを克服して資金の流れが変わった時、全体相場は一時的に下げに入るかもしれない。だが、その新しい相場は「業績相場」と名付けられ、時代を先導する好業績企業はさらに上がることになるだろう。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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