東京五輪「最悪は観客ゼロ」でも開催したい事情 菅政権で現実味帯びる、コロナ禍だからこそ

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五輪の準備に関わる政府関係者は、競技ごとにどこまで観客を減らすか、11月には議論することになると説明する。「テレビ放映できることが重要で、観客はゼロで問題ないと思う」と同関係者は語る。観客削減の場合、観客ゼロの場合ともに「チケットはとりあえず全額払い戻しになるだろう」という。

人類が疫病に打ち勝った証しとして

菅首相が力を入れるインバウンドによる経済効果は薄れるが、開催することが最優先だと同関係者は話す。菅首相は9月26日の国連演説で、「来年の夏、人類が疫病に打ち勝った証しとして東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する決意だ」と表明している。

コロナは全世界が関わる問題であり、今も1日30万人のペースで感染者が増加している。日本国内の感染状況だけでは決められない。日本も経済活動の制限を緩めた結果が現れてくるのはこれからだ。

それでも国連総会の場で約束したことは重いと、大会関係者は指摘する。「菅さんは国連で『必ずやる』と言ってしまった。それはつまり、やらざるを得ないということ」と五輪の準備に関わる前出の政府関係者は語る。

渡航制限がかかったままの国のアスリートは特例で来日を認める一方、観客の入国は認めないようにする案などがあるという。

観客を減らしたとしても、「コロナ禍だからこそ、経済的に五輪を開催する意味がある」とこの関係者は話している。

(竹本能文、梶本哲史 編集:久保信博 山口貴也)

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