鈴木茂晴・大和証券グループ本社執行役社長(CEO)--合弁解消のメリットは多い。フリーハンドが増した

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 これまでは旗色が鮮明で、三井住友グループ以外の企業との取引は難しく、特に金融法人とのビジネスでは決定的ハンデがあった。しかし、合弁解消でフリーハンドが増し、新規にどこにでもアプローチできるようになった。企業側から見ても、証券会社にプライシングを競わせる点で利便性が高まったのではないか。

もちろん競争は厳しいし、そう簡単に主幹事を取れるものではない。ファイナンスというのは、見た目派手なようで地道なビジネス。結果が出るには時間がかかる。大事なのは顧客に理解してもらうということ。一発勝負で取って、後は野となれ山となれというわけにはいかない。

■他社との資本提携 今は100%ない

--三井住友FGが日興コーディアル証券を買収したことで、三井住友メインの企業の主幹事が一部、日興に流れてしまうのでは。

そういったところはゼロではないだろうが、それでも(主幹事として)長年ずっとやってきているので、それなりの評価はいただけると思っている。昨年のNECの増資でも主幹事は維持しており、われわれの先輩が築いてきたものは今後もキープしていけるよう愚直に努力していく。

--合弁解消発表後、信用格付けがシングルAからトリプルBへ下がりました。調達金利への影響は。

ほとんど上がっていない。最近も5年物など調達したが、(上昇幅は)せいぜい数ベーシスポイント程度(1ベーシスポイントは0・01%)。それに当社は今後1年以上、短期市場から資金調達しなくても大丈夫な財務状況にある。格付け会社も財務の流動性は十分だと認めていて、これ以上資本を増やしても格付けは上がらないと言っている。要は、ここから収益がどう上がるかを見たいと。格付けは一度下がると上がりにくいが、結果を出していくしかない。

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