規制改革会議が狙う混合診療解禁の無理筋 「選択療養」の提案に厚労省、患者団体などが反発

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4月23日の内閣府の規制改革会議会合では「選択療養制度」の是非が議論された(撮影:大塚一仁)

政府の規制改革会議が打ち出した「混合診療」の事実上の全面解禁案が、暗礁に乗り上げかけている。

同会議が、健康保険で認められている治療法(保険診療)と認められていない治療法(保険外診療)を併用する混合診療の事実上の全面解禁を求めたのは3月27日。患者が希望した場合、医師との契約に基づき、簡単な手続きで極めて短時間に健康保険から保険外併用療養費の支給が受けられる「選択療養」制度の創設を提言した。「困難な病気と闘う患者が治療の選択肢を拡大できるようにするための規制改革」(岡素之議長)というのが、その題目だ。

ところが、「規制改革会議が提案する仕組みでは、医療行為の安全性や有効性の確認ができない」と、厚生労働省が猛反発。規制改革会議は同省の同意を取り付けたうえで6月に予定する答申に提案内容を盛り込みたい考えだが、直近の4月23日の会合でも着地点は見いだせていない。

従来、混合診療解禁に反対の立場を示してきた日本医師会や難病患者の団体だけでなく、がん患者団体や健康保険団体など多方面からの反対にも直面。安倍晋三首相をはじめとする政府内部からも、選択療養制度の創設を明確に支持する声は聞こえてこない。

混合診療とはいかなる制度か

これまで規制改革会議は、医療に関する多くの制度を「岩盤規制」と見なし、抜本的な改革の必要性を主張してきた。そうした中で打ち出されたのが、混合診療の全面解禁につながる今回の提案だ。

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