貧乏東大生が見た「金持ち東大生」との残酷格差 「学生身分でベンツ乗り回す女子生徒がいた」

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宮須さんは長崎県出身。東大を受験したのは、たまたま本屋で目にした『受験は要領―例えば、数学は解かずに解答を暗記せよ』(和田秀樹、ごまブックス)という本に感化されたからだという。

普通、東大を受験しようとする高校生は塾や予備校に通うものだが、宮須さんは独学で東大受験に挑んだ。

家に子どもを予備校に通わせるだけの経済的余裕がなかったからだが、彼はそんな逆境をものともせず、『受験は要領』に書いてあった「英語と数学の二科目を重点的に勉強し、問題集に載っている解法を丸暗記する」という勉強法の実践で、見事、東大文三に現役合格した。

「自分と同じようにコンビニでアルバイトをしていたCさんについては、勝手に苦学生仲間だと思っていたから、とりわけショックが大きかったね。まぁ、勤務時間は朝の2時間だけだったし、彼女にとっては社会勉強だったのかな」

そう、宮須さんがアルバイト先に選んだのはコンビニだった。

コンビニバイトの東大生、ベンツで通う東大生

東大生なら時給の高い教育関係のアルバイトをするのが一般的だが、学習塾の講師や家庭教師といった仕事ではまとまった時間を働くことは難しい。

宮須さんは、家賃3万5000円の格安アパートに住んでいたが、実家からの仕送りが一切ないため自力で月に10万円は稼がねばならず、それができるのが希望すれば何時間でも働ける東大農学部前にあったローソンの店員のアルバイトだったという。

「なにかにつけて『自分は東大生に見られない』と言っていたDさんは、そのとおり、見るからに浮世離れしたお嬢さまだったな。ガリ勉という感じはまったくしなくて、清楚でかわいらしかったけれど、学生の身分でベンツを乗り回していたよ。一方で俺はといえば、車を所有する以前の話で、免許を取りに行く金さえないんだから、生きている世界がちがうと思ったね」

免許を取りに行けないほど困窮していたならば、教科書代にも事欠いたはずだ。学術書のなかには優に数万円するものもあり、僕もその手の本を買う際には何日も悩んだ覚えがある。

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