新薬承認のキーマンに流れる製薬マネーの驚愕 審議会委員への多額の金銭授受は妥当なのか

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公的な新薬承認にかかわる人たちに製薬会社から払われるお金の実態とは?(写真:Ca-ssis/iStock)

皆さんは、自分が病院で処方され薬局から受け取っている薬がどのように国によって承認され、市場に出回っているかご存じだろうか。おそらく多くの人にとってはピンとこない話だろうが、製薬会社にとっては利益に直結する死活問題だ。しかし増え続ける医療費の大半を占める薬代は国民にとっても無関係ではない。薬がどのように、そして誰によって承認されているかについて、国民は知る権利があるだろう。

ところが、あろうことかその非常に公的な要素が含まれる薬の承認プロセスに製薬会社からの不透明な金銭的関わりがあることが明らかになった。今回はこの薬事・食品衛生審議会委員への製薬マネーについて解説したい。

「薬にも毒にもなる」という言葉がある通り、薬はその使い方や量を誤ると身体に大きな影響を及ぼす。場合によっては死に繋がることすらある。そのため、むやみやたらに化学物質を薬として承認するわけにはいかない。本当にその化学物質が薬として安全で、かつ不正なく作られているかを監査するため、多くの先進国が化学物質を薬として承認するための規制を設けている。

新薬承認の仕組みとは?

日本では大きく分けて、主に厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下PMDA)という2つの機関が新薬の承認に関与している。さらに、厚生労働省は薬剤承認業務の一部を自身が管轄する薬事・食品衛生審議会という外部の公的な諮問委員会に委託している。

薬事・食品衛生審議会の委員の選定は厚生労働省が行い、医学だけでなく他の分野も含めた専門家からなる。具体的な運用としては、PMDAによる新薬の審査の後、厚生労働省は薬事・食品審議会において公式な審議を行い、審議会に所属する委員の意見を踏まえて医薬品の承認の妥当性を決定する。

薬事・食品衛生審議会はいくつかの部会に分かれており、部会ごとに審議を行う薬の種類が変わってくる。例えば、医薬品第一部会では降圧薬などの循環器疾患治療薬などの承認業務が行われる一方、医薬品第二部会では抗がん剤の一種である分子標的薬などが審議承認される。

次ページ委員に利益相反(金銭授受)があれば自己申告が必要
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