経営者は方向性を的確に語りかけ、疲弊感をぬぐえ--『経営の教科書』を書いた新将命氏(国際ビジネスブレイン代表取締役、ジョンソン・エンド・ジョンソン元社長)に聞く

経営者は方向性を的確に語りかけ、疲弊感をぬぐえ--『経営の教科書』を書いた新将命氏(国際ビジネスブレイン代表取締役、ジョンソン・エンド・ジョンソン元社長)に聞く

国際舞台で丁々発止とやり合える人材の不足が指摘されて久しい。20年以上にわたり外資企業でトップマネジメントを経験した著者の「リーダーシップ・テキスト」が好評だ。外資での知見で得た「経営の原理原則」とは。

--最近、ワークショップや研修で、部課長からよく聞く言葉があるそうですね。

部課長の口からよく出る言葉が、三つある。実はこれを10年前にも聞いたが、今のように数多く出なかった。それは、疲労感、疲弊感、それに閉塞感という言葉だ。意外なことにまずまず儲かっている会社の社員からも出る。

その部課長の上司が「行ってこい」「稼いでこい」「代金回収してこい」などとむちを振る。短期目標の達成ということで大いに尻をたたく。むちを振られると部課長はあおられて、それなりの結果を出す。ところが、短期目標の追求だけでやっていると、多くの人は肉体的ではなくても、精神的な過労状態に陥る。この疲労は抜け難い。

--原因は。

部課長の上司たる人間が短期目標の追求だけでむちを振るい、彼らに「将来の夢」を語らない。それでは、先が見えない。不平とか不満とか失望、そういったマイナス材料を、質と程度は違ってもみな持ってしまう。ただし、トンネルの先のほうに希望、期待、楽しみ、さらに喜び、そういうものが見えると、目先の不平不満はそうとう収まる。

耐え難いのはお先真っ暗という状況だ。しゃにむに当面の目標に突き進む、その一方で先に夢がないと。そうなれば、疲労感、疲弊感、閉塞感がいやでも募る。

--「将来の夢」とは。

経営の言葉で言うと、トンネルの先の希望、楽しみ、つまり方向性のことだ。いまわが社はこうだが、ゆくゆくはこういう会社になりたいと、経営者が的確に部下に伝えていかなければならない。

この方向性を構成する要素は三つある。理念、目標、戦略だ。

理念。それはまた三つの要素から成り立っている。まずビジョン、言い換えれば自社の理想形。ゆくゆくはこうなりたいという、あらまほしき姿を描く。次いで使命感。この会社で何をやるか。だれのためにどうお役に立つか。しばしばミッションといわれるものだ。これが希薄で、個人個人がてんでんばらばらであって、ミッションとしてあるとすればゼニ儲け、これではその会社は長続きしない。もう一つの構成要素の価値観は、仕事をしていくときに何を大切と思ってするのかだ。これは全社員に共有されることが大事だ。

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