コロナ禍で「住まい探しの条件」が変化する背景 在宅勤務が物件選びにも大きく影響している

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もちろん住宅需要が縮小すれば、価格への影響も大きくなる。需要が縮小するのか気になるところだが、不動産ポータルサイト「SUUMO」の物件閲覧数は前年よりも増加しているという。コロナ禍でも多くの人が物件を探しているためだ。

リクルート住まいカンパニーが緊急事態宣言下の5月に、緊急事態宣言発令(4月7日)以降に主に住宅の購入・建築・リフォームを検討した人を対象に調査を実施した「コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)」を見ると、より詳細にその理由がうかがえる。

出典:リクルート住まいカンパニー「コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)」より「住まいの検討のきっかけ」結果上位10までを抜粋

「住まいの検討のきっかけ」を聞くと、結婚や子供の誕生、入園・入学などライフステージの変化であったり、就職・転職や転勤など勤務先の変化であったりしたが、実は昨年の調査とその比率はほとんど変わらない。例年、こうしたきっかけによる需要が一定レベルで生じるからだ。注目したいのは、今回の調査では新たに「在宅勤務になった」が挙がったこと。通常の需要に加え、在宅勤務をきっかけとする新しい需要が生まれた可能性が考えられる。

テレワークが住まい観を変えた?

また、このところ、テレワークと住まいに関する調査結果も数多く公表されている。テレワークの継続意向を見ると、おおむね6割~8割が継続したいと回答している。緊急事態宣言解除後の6月に調査を実施したWOOCの調査結果では、75%が継続意向ありだった。となると、テレワークは何らかの形で今後も継続するだろう。

テレワーク(在宅勤務)に関する複数の調査結果を集約すると、そのメリット・デメリットについてはおおむね次のようになる。

▼テレワークの「メリット」
・満員電車による通勤ストレスからの解放
・自分の時間が増えた
・家族との時間が増えた
▼テレワークの「デメリット」
・オンオフの切り替えが難しい
・仕事に適したスペースがない
・住宅内の音が気になる
・運動不足(座りっぱなし)になる

メリットとしていいと思ったこと、デメリットとして不満に感じたことが、新しい住まいのニーズになるわけだが、まず新たなニーズとして注目されるのは、「職住融合」、「家なかオフィス」だ。しかも、できればオンオフの切り替えがしやすく、住宅内の音や家族の声が聞こえづらいほうがいいのだろう。

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