トルコの「ヴェステル」を知っていますか? 台頭する新興国の薄型テレビメーカー
世界のテレビ市場で、新興メーカーが存在感を強めている。
シェア1位にサムスン電子、2位にLG電子というトップツーの顔触れは変わらないが、2013年は3位に中国メーカーのTCLが躍り出た。
快進撃の理由はどこにあるのか。TCL欧州地域マーケティング・ディレクターのアントイン・サロメ氏は、9月5~10日に開催される欧州最大の家電展示会「IFA」のプレイベント「Global Press Conference(GPC)」で次のように語った。
「TCLの最大の強みは垂直統合型のビジネスで、タイムリーに新製品を出せることだ」
TCLは液晶パネル生産も手がけており、韓国サムスン電子などに外販している。自社ブランドのテレビも手広く展開し、2013年の出荷台数は前期比10.7%増の1720万台と大きく伸ばしてソニーを抜き去った。
TCL躍進の秘密
成長戦略は明快で、値ごろ感があるテレビを全方位の消費者に展開している。たとえば欧州市場の場合、35歳以上のファミリー層には「Thomson」ブランドで信頼性を訴求する中価格帯品をそろえ、20~35歳の若い世代には「TCL」ブランドでポップなデザインのテレビをラインナップする。49型で1000ユーロの4Kテレビも揃えている。複数ブランドで自在に商品展開できるのは、自社でテレビ用パネルを生産する垂直統合モデルだからこそ。これはパナソニックやシャープといった日本メーカーが軒並み挫折したビジネスモデルだが、TCLは好循環を生み出せている。2015年までに液晶パネル生産を増強し、有機ELパネル工場の立ち上げも検討中という。
彼らが期待を寄せるのが次世代テレビだ。年内に65型で曲面ディスプレイを採用した4Kテレビの発売を予定している。今年9月の「IFA」では、超大画面となる110型の曲面ディスプレイを採用した4Kテレビの発表を計画するなど、勢いづく。
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