中国メディアも熱狂した「本気のソニー」

巻き返しを図るソニーに勝算はあるのか

 日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在経験があり、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。  
中国メディアの前に平井社長が登場

平井社長が初めて中国マスコミの前に登場

近年、デジタル家電・モバイル機器カテゴリーのニッポンブランドは、アップルやサムスンの攻勢の前に防戦一方の感があります。これは中国市場に限った話ではなく、グローバルなトレンドでしょう。

そんな中、ニッポンブランドの牽引車のひとつであるソニーが、2006年以来、7年ぶりに中国で開催した「本気の」PRイベントに参加してきました。今回は、通常、日本企業に対して冷めた報道しかしない中国メディアをも熱狂させた「Sony Expo 2013」をレポートします。

中国語で「索尼魅力賞」と銘打たれたこのショーは、11月12日、上海の「上海世貿商城」で、午前中はプレス、午後はディーラー対象に2部制で行われました。私が参加した午前の部は、400人近い記者で会場が埋め尽くされました。彼らの最大のお目当ては平井一夫社長兼CEOです。中国の報道メディアはまだまだ発展途上で、記者は経験の浅い若者が多く、はっきり言ってミーハーです。有名人の取材になると仕事であることも忘れて興奮してしまいがちです。

特に、平井社長は日本企業のトップとしては年が若く、長身でルックスがよいうえに、きちんとした英語でグローバルスタイルのプレゼンテーションができる人ですから、彼の登場はメディアの取材意欲をかき立てました。

実は、若手中国人記者の英語能力はかなりのものがあります。学校で学んだうえに、ネットでアメリカのドラマを見たり音楽を聴いたりして育っていますから、ネイティブな英語であるかどうかの判断はすぐにつきます。また、よほど難しい内容でなければ、通訳なしで直接理解する記者も多いと思います。グローバル企業のリーダーのコミュニケーション能力の重要性は、ますます増しています。

平井社長のスピーチは、ソニーのミッションステートメント「A company that inspires and fulfills your curiosity(一家激発并満足您好奇心的公司)」の説明から始まりました。エレクトロニクス、モバイル、コンテンツを統合したユニークな体験を提供するのがソニーであると紹介し、加えて、中国市場の重要性を強調しました。全体として、メディアの期待に応える、ソニーのブランドアンバサダーとしての役割を無難に果たした印象を受けました。

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