東証「アローヘッド」始動で売買動向に微妙な変化、ネットトレーダーは受難の時代?

 
 東証の新売買システム「アローヘッド」が、1月4日の大発会から稼働した。売買注文の処理速度が大きく向上しただけでなく、“超”短期売買のデイトレーダーらが苦戦を強いられる一方、大証の大型株に買いが入り始めるなど、市場に微妙な変化が表れ始めている。

新システムは東証が300億円もの巨費を投じて開発。東証が注文を受け、注文成立の信号を送り返すまでの時間は、これまでの2秒前後から1000分の5秒へ短縮された。コンピュータで小刻みに自動発注を繰り返す機関投資家や、内外の大手証券の要請に応えたものだ。

一方、割りを食ったのは中小証券のディーラーやセミプロの個人。注文の板を見て機関投資家の大口注文に先回りし、機敏に1円単位の値幅を稼いできた市場参加者だ。ネット証券では専用ソフトの高速化が相次いだが、個人のパソコンからプロバイダを経て証券会社に注文が届くまでのタイムロスからは逃れられず、反射神経で大口投資家の上前をはねる売買手法は、こと東証の大型株に限れば、過去のものになっていくだろう。昨年暮れ以降、株価100円前後の低位株がにぎわっているのは、機関投資家は手を出さない銘柄に、超短期売買の投資家が追いやられていることも原因かもしれない。

東証は以前、どの証券会社から注文が出たかを示す売買手口を、機関投資家の声に押された大手証券の要望で非公開化した前例がある。今回も東証は「大口顧客優先」を貫いたわけだ。

一般投資家のメリットは皆無に近いが、留意すべき点がある。「連続約定気配」と呼ばれる新しい値付け方法の導入だ。以前は100円の株が110円に上がる際、いったん105円で気配値の上昇を5分間止め、投資家に考える余裕を与えていた。しかし、新システムでは、瞬きする間もなく110円まで駆け上がってしまう。

また、値幅制限も緩和される。株価700~1000円の場合、ストップ高・安までの値幅は100円から150円へと拡大する。「取引の場を提供するのが取引所の基本的な立場」(東証)という考え方からだ。値動きの荒いマザーズ銘柄を中心に、意図しない値段で約定する可能性があり、注意が必要だ。

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