河川敷で「闇部活」続けたバレー強豪校の大問題 自粛要請を無視した「中学日本一」の衝撃実態

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そのうえ、このようなコロナ禍の“闇部活”を断った家庭の生徒らが、顧問によって嫌がらせを受けていた。分散登校から通常登校になったばかりの6月下旬に行われた都外の遠征合宿に、闇部活を拒否した生徒を連れて行かなかった。練習中に「コロナ(休校中)でも参加した組は」「参加しなかった組は」といった言い方で、差別的な扱いをしていた。

緊急事態宣言が出る中で日本全国が自粛に耐える中、いたって「常識的な行動を取る者が悪」で、「常識に欠けるものが正義」という曲がった倫理観が、この部ではまかり通っている。

卒業生の親のひとりは、顧問について「教祖様のような扱いをされている」と話す。

「私たちも今の状況をいろいろ聞いている。自粛期間中に練習をやるなんておかしいし、来なかった子にそんな仕打ちをするなど異常だ。ただ、親御さんたちが声をあげられない事情もわかる。高校受験という進路に影響してくるし、子どもたちに手をあげることは数年前から減ったが、暴言がすごいのでみんなが先生を恐れている」

どうやら筋金入りの根性論教師のようだ。

「一度死んで来い」

練習中に「一度死んで来い」などと平気で口にする。特大台風の折に遠征を強行したこともある。コロナ前から土日など学校が休日の練習は、そのほとんどが昼間から夜9時まで行われてきた。思い込みが強いようで、コロナウイルスの感染が拡大し始めてから「コロナに勝つのはコアラだ」と言い出して、いつの間にか保護者との連絡ラインの名称が「コアラ」になったというのだ。国内外で多数の死者を出すなか、その混乱を面白がっているととられても仕方のない言動だが、周囲は決して抗えないようだ。

闇部活などの事実関係を筆者が問うと、校長は「事実は少し違うようで、顧問はこう言っています」と、ヒアリングした際の顧問の弁明を伝えてきた。

「練習しろなどとひとことも言ってない。自宅が近所の者同士、2~3人でやってもよいという許可を出しただけ。保護者から6月に入りそろそろ練習をという声があがり、河川敷を見つけてきた。ネットが欲しいというので貸しただけ。最初は少人数だったのが、徐々に増えてしまった。練習というよりも、バレーボールで遊んでいただけだ」

自転車で10キロ離れた場所まで、このコロナの自粛期間中にわざわざ遊びに行くだろうか。そこには、大学の練習が中止になった卒業生までも現れている。

さらに、泊まりがけの合宿については「合宿などは保護者主催なので、学校への報告は義務づけていない」と校長は話す。休日の夜9時までの練習も「保護者からの要望が多いので……」と答えるなど、何から何まで顧問ではなく保護者の行きすぎた部活熱を理由に挙げるばかりだ。

管理責任のある当該の教育委員会に問い合わせると、「どれも部活動のガイドラインから逸脱している。事実だとすれば、教育的にはよろしくないのでもう少し踏み込んだ調査をしたい」と話す。

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