「クルマの価値観」は、コロナでどう変わったか 暮らし方の変化でクルマニーズが増える理由

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このほかにリモートワーク空間として、自宅のクルマも活用されている。もともと仕事は会社で行うから、自宅に仕事場所を持っていない人も多い。幼い子どもがいると、パソコンを使ったウェブ会議などに、支障が生じることもある。

そこで車内を仕事場にする。ステアリングホイールに引っ掛けるテーブルなどが市販され、パソコンの利用も可能だ。クルマの中はスッキリしているから、ウェブ会議に使っても違和感はない。

夏は涼しい場所に移動して、仕事ができる。長時間の仕事ではエコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)を避ける適度な運動も必要だが、車内はオフィス代わりになるのだ。

コロナ後にクルマを買いたい人が増えている

クルマは気分転換の外出にも役立つ。徒歩や公共交通機関を使う外出では、他人との接触も生じるが、自分のクルマなら自宅の延長だから感染リスクは低い。1人で車内にいるときは、マスクを着用しなくてもいい。

今は外出時のマスク着用がエチケットになっているが、それはコロナ対策だから、マスクを着けただけで何となく緊張感が生じるものだ。これを外してクルマを走らせると、リラックスした開放感が味わえる。

クルマの中はマスクなしで過ごせる数少ない空間でもある(写真:metamorworks/PIXTA)

広告代理店のデルフィスが行った意識調査によると、約80%の人が、「クルマなら感染リスクを下げて安全に移動できる」と回答した。クルマを買う予定はなかったが、「コロナ終息後に買いたくなった人」も18%に達している。コロナ禍を経て、クルマの必要性が高まっているのだ。

今後変化する住宅事情も、クルマの所有に影響を与える。

今までは郊外に住み、毎日満員電車に乗って通勤するのが普通だった。働き方改革により、リモートワークも推奨されていたが、実現には踏み切れない企業も多く、勤務先に近い都市部に住みたいと考える人が多かった。実際に総務省のデータによると、少子高齢化によって大半の地域で人口が減っているが、東京都/神奈川県/愛知県などの大都市では、ほかの地域からの流入もあって人口が増えていた。

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