渡部建の「不倫騒動」に見えた3つの致命的ミス 順風満帆なのになぜ欲望に負けてしまったのか

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ただ渡部さんの活動自粛は長期に渡る可能性もありますが、決して復帰できないというわけではないでしょう。不倫の過去があっても現在活躍している芸能人は多く、それは一般のビジネスパーソンも同様であり、あなたの勤務先にもそういう人がいるかもしれません。イメージが重要な芸能人と言えど、それをどう上げるかは仕事の実力次第であり、その意味で渡部さんは禊の期間後が頑張りどきとなるでしょう。

ネット上には「消えろ」「引退決定」「もう2度と出てくるな」などの厳しい声が目立ちますが、1度の失敗を点でとらえて抹殺するのではなく、再起までの線でとらえるような懐の深い世の中であってほしいところです。

人間の欲望は果てしなく、罪深い

最後に、渡部さんとやり取りしていたときの印象を書いておくと、「非常に効率的で無駄がない仕事ぶり」「相手の意向を踏まえて話す柔らかさ」「芸能人というオーラを出さず気さくな対応」など、仕事のできるビジネスパーソンと話しているような感覚がありました。

「芸能人だから、あまり近づかないで」という感じはなく、むしろ近づいて交流してくれる。芸能人特有の強い自己主張もなく、周囲を気づかい、「相手が何をすれば喜んでくれるか」を考えているような人でした。とはいえ、当然ながら複数女性との不倫を擁護する気にはなれません。

渡部さんは「コンプライアンスに抵触するリスクが低く、炎上しづらい安全安心の芸風」と言われて重用されてきました。さらに、佐々木希さんとの結婚で好感度が上がり、グルメ王の座も安泰であり、1歳男児もかわいがっているなど、リスクを冒す理由がまったくわからないのです。

それだけに、やはり人間の欲望は果てしなく、罪深いものであることを改めて感じさせられました。これは決して芸能人だけの話ではなく、ビジネスパーソンのみなさんも、順風満帆なときこそ、さらなる欲望を求めて失敗しやすいことを覚えておいてほしいのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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