7&iHD、4期連続で営業最高益更新へ 今期は国内1600店出店、コンビニ牽引が鮮明化

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4月3日、セブン&アイ・ホールディングスは、2015年2月期の連結営業利益が、前年比4.8%増の3560億円になるとの業績予想を発表した。都内で昨年10月撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 3日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>は3日、2015年2月期の連結営業利益が、前年比4.8%増の3560億円になるとの業績予想を発表した。4期連続で営業最高益更新を狙う。

主力の国内コンビニエンスストア、セブンイレブンは、積極出店に加え、店内コーヒー、高品質のプライベートブランド(PB)などが好調で、引き続き収益をけん引する。

トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト18人の予測平均値は3665億円で、会社予想はこれを下回った。

消費、6月ごろには戻る見通し

消費増税の影響について、村田紀敏社長兼最高執行責任者(COO)は会見で「駆け込み需要は最後の3日間に大きく出た。4月はほぼ前回の増税時と同じ状況でダウンしている。6月ごろまでには元に戻ってくるのではないか」との見通しを示した。

前回の消費増税時には、消費は8月ごろに戻り始めたものの、アジア通貨危機や日本の金融危機、政府の景気対策の遅れが景気に悪影響を及ぼしたと指摘。その上で、今回も消費環境が悪化するリスクとして「政府の景気対策の遅れ」を挙げた。

業界では、顧客獲得に向けた値下げ競争が再燃し、再びデフレ経済に戻るのではないかとの懸念も出ている。村田社長は、女性の社会進出や高齢化など社会構造の変化を背景にして「量を買う消費から良いものを買いたい消費者が増えている。セールより高くても良いものは売れている。デフレを払しょくすることは小売業の役割」と述べ、高付加価値の商品開発を進める方針をあらためて強調した。

国内コンビニ、1600店と過去最高の出店

グループの営業利益の中で主力の国内コンビニは61%を占めており、国内コンビニが収益をけん引する形が鮮明になっている。 国内コンビニ事業は6.1%増収、2.9%営業増益(2190億円)と増収増益を計画している。このほか、金融関連事業も5.8%営業増益の475億円と伸張を見込む。 国内コンビニは、今期も積極出店を続ける。新規出店は、前期の1579店舗を上回り、過去最高の1600店舗を予定している。同社関係者によると、建築費高騰などはあるものの、現時点では出店の制約にはなっていないという。村田社長は「結果としてコンビニの売り上げシェアは40%を占めるようになった」と指摘。強さが際立ってきた。

こうした新規出店に加え、既存店売上高も同1.0%増とプラスを見込む。高付加価値のPBが好評で利益率向上にも寄与するなど、好循環が生まれている。

PB[セブンプレミアム]は、14年2月期計画の6500億円に対して6700億円の売り上げとなった。15年2月期は19%増の8000億円、16年2月期には1兆円を目指している。 米コンビニ事業は、為替円安の影響もあり、14.6%営業増益と伸張する。現地通貨ベースでも過去最高益となっている。 一方、消費増税の影響もあり、総合スーパーのイトーヨーカ堂の既存店売上高は3.0%減と引き続き苦戦。ただ、利益率の高いプライベートブランドの強化や経費削減により15.7%営業増益の130億円を目指す。ヨーカ堂では、4月1日から食品や住居品で775品目を5―30%値下げしている。 また、増税前の駆け込みが最も顕著だった百貨店のそごう・西武は池袋を中心とした旗艦店舗の伸長や自主企画商品、自主編集売り場の強化で18.3%営業増益を見込む。

設備投資は、コンビニ事業を中心に前期比17.3%増の3950億円と高水準の投資を継続する。

2014年2月期の連結営業利益は前年比14.9%増の3396億円だった。減価償却方法の変更により約315億円が上積みとなっており、これを除くと4%営業増益となる。

15年2月期もこの要因を加味すると、5.5%営業増益の見通し。

(清水律子 編集:山川薫)

 

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