「CMOSのソニー」に忍び寄るサムスン 14年度もスマホ向けセンサー大幅拡大だが・・
[東京 25日 ロイター] -ソニー<6758.T> は、2014年度も前年度に続いてイメージセンサー事業で2ケタ増収を確保する見通しだ。スマートフォンやタブレット端末に用いられるカメラ用の画像処理センサー「CMOSイメージセンサー」の出荷が、一段と拡大するためだ。
「自分撮り」のニーズで「表面」カメラへの供給が増えるほか、レンズと組み合わせたカメラモジュールの大口注文も確保。タブレット端末用カメラにも本格的に供給を始める。中国スマホメーカーへの供給もさらに拡大する計画だ。
CMOSイメージセンサーを中心とする同社のセンサー事業の2013年度の売上高は約3600億円(12年度は約3100億円)で、前年比16%増の計画。ソニーのデバイスソリューション事業本部の岡本裕本部長は、ロイターの取材に対し「14年度もこのトレンドで伸ばせる」と述べた。
ソニーの調べによると、2013年度は世界に出荷されるスマホの44%に同社製のCMOSセンサーが搭載される見込み。ソニーは、具体的な供給先は公表していないが、複数の関係者によると、米アップル
自分撮りカメラに出荷増、モジュールの大口注文も
来期は、スマホの表面カメラへの供給も見込む。通常、スマホのカメラは裏面がメーンだが「自分撮り」や「ビデオ通話」のニーズが拡大し、表面カメラの高画素化が進む。最先端カメラを搭載するソニーの「エクスペリアZ2」のカメラは、メーンの裏面が2070万画素に対し、表面が220万画素。表面の低画素カメラは米オムニビジョン・テクノロジーズ
さらに利益貢献で期待できるのは、カメラモジュールの出荷だ。センサー単体より、レンズと配線板を一体化したモジュールにすれば数倍の価格が見込める。13年度のカメラモジュール出荷は、自社のスマホなど一部にとどまったが、直近で大口顧客からまとまった注文が入ったため、2014年度の増収に寄与する見込み。
また、来期から本格化するのが、タブレット端末用カメラへのセンサーの供給。スマホに比べてカメラ機能は遅れていたが、「タブレットでも高機能センサーがほしいというニーズで、14年度から出荷がかなり増える」(岡本氏)という。
中国スマホに高機能センサー需要
すでに中国では、華為技術(ファーウェイ)
ソニーのCMOSセンサーの外販比率は8割。スマホが拡大する一方でデジタルカメラ市場は、コンパクトカメラが急速に縮小し、レンズ交換式カメラも減少している。だが、デジカメの高級化によって、1つのセンサーが大型化しており「デジカメ向けセンサーも、金額ベースではそれほど落ちていない」(岡本氏)としている。
サムスン、自社製センサーに切り替えの動きも
調査会社テクノ・システム・リサーチによると、2013年のCMOSセンサーの世界シェア(金額ベース)見込みは、ソニーが33%で首位、米オムニビジョンが16%の2位で競合。ソニーが高機能を追求しているのに対し、オムニビジョンは低画素カメラ市場で価格競争力を発揮している。
今後の主戦場となる中国スマホ市場で、ソニーは価格競争に陥らないように、カメラの高機能化ニーズを取り込む方針。
一方で、CMOSセンサーでシェア3位(14%)のサムスン電子は、最新モデル「ギャラクシーS5」のカメラで、「ISOCELL(アイソセル)」と呼ぶ新技術を使った自社製のCMOSセンサーをメーンに切り替える計画で、ソニーにとって打撃となる。
また、サムスンはCMOSセンサーの技術レベルも向上させてきており「追いつかれないようにしたい」(岡本氏)と、技術面での開発にも引き続き注力する。
ソニーは、CMOSセンサーを熊本工場と長崎工場で生産。2010年以降、2200億円を投資して生産能力を拡張した。それでも14年度の需要が堅調で、2工場の設備では来期に能力が不足する。
このためルネサスエレクトロニクスから75億円で買収する鶴岡工場で、15年4月からCMOSセンサーの生産を始める。鶴岡工場では15年下期まで275億円を投資してCMOSセンサーの製造設備を導入する計画で、それ以降の増強についても今年秋ごろに判断する予定だ。
(村井令二 編集:田巻一彦)
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