30年ぶり暴落に映る「コロナ恐慌」最悪シナリオ 世界のリーダーが協調して対応する必要がある

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実体経済への影響も注視すべきだが、株式市場や金融市場への影響も大きな懸念材料だ。今後の課題は株価がどこまで下落するかではなく、信用収縮や流動性の枯渇が起こるかどうかだ。要するにリーマンショックのように金融機関が連鎖的に破綻するような事態にならないかどうかを注視しなければならない。

現在の金融マーケットは、極めて複雑で高速化されており、グローバリズムが行き届いているため、世界のどこかで金融システムに影響を与えるような大きなイベントがあったときには世界中に連鎖する。

日銀はどう動くのか(東洋経済オンライン編集部撮影)

自動売買が当たり前になったのも危機を増幅しかねない。アメリカの株式市場が大きく乱高下しているのもファンドマネジャーに代わってAI(人工知能)が売買を行っているからだ。加えて、高頻度売買が常時行われているために、どうしてもマーケットは乱高下してしまう。

今後の展開次第では、株価の暴落から債券市場や為替市場、先物やオプションといった派生商品(デリバティブ)など、さまざまな金融市場に影響が出るのは避けられないだろう。リーマンショックのときには、住宅ローン担保証券(RMBS)といった証券化商品に代表される信用市場の金融商品にも影響が及んだ。

リーマンショックでは、信用市場が不透明となって銀行間同士の資金繰りが破綻して、アメリカ第5位の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻。金融システム不安にまで発展してしまった。今回のコロナショックでも、金融システムそのものに対する信用不安に波及する恐れは十分にある。

リーマンショック時の対応を振り返ると?

リーマンショックのときには、当時のブッシュ(ジュニア)政権が率先して世界の金融システムを守ろうと立ち上がり、G7やG20といった会議を招集して、各国共通で強力な経済政策を打ち出した。とりわけ中国は、総額で4兆元(当時のレートで約57兆円)という景気対策の資金を出した。

しかし、今回のコロナショックでは、対外的には冷たいトランプ大統領が先頭に立って経済政策を取りまとめるようなことはしない可能性が高い。彼は世界がどうなろうと、自分が大統領選挙に勝つことを優先するかもしれない。リーダーなき世界を意味する「Gゼロ社会」という言葉があるが、まさに現在の状況がそれに当たる。中国もリーマンショック時と異なり、経済危機の震源地にあたるため、他国の救済を期待しにくい。

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