米民主党が選ぶのはバイデンかサンダースか スーパーチューズデー後の指名争いの行方

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サンダース候補はエスタブリッシュメント批判でどこまで票を伸ばせるのか(写真:ロイター/Jonathan Ernst)

ヒラリー・クリントン候補がトランプ大統領に負けた2016年11月大統領選以降、民主党有権者はトランプ大統領に勝てる大統領候補をひたすら探してきた。2019年の出馬表明以降、バイデンはその知名度と人柄などから高い支持率を維持してきた。だが、その後、ピート・ブティジェッジ、マイケル・ブルームバーグ、エイミー・クロブシャーなど他の穏健派候補に民主党穏健派は心を惹かれたようだ。

とはいえ、スーパーチューズデー前には再びバイデン支持に舵を切った。この状況について、ある専門家は、「バイデンが勝てるかどうか不安で彼らはしばらく浮気をしていたが、ようやく本命のバイデンに戻ってきた」と揶揄している。

しかし、バイデンは欠陥も多い候補である。同氏は演説などで失言や間違った発言をして、その後訂正するケースなどが散見される。サウスカロライナ州予備選以降、バイデンは勝利を重ねているものの、本人のこのような欠点は変わらない。またウクライナ疑惑をめぐる息子ハンター・バイデンの件が再浮上する可能性さえある。

スーパーチューズデー翌日の3月4日、上院国土安全保障・政府活動委員会のロン・ジョンソン委員長(共和党)はハンター・バイデンとウクライナの大手ガス会社ブリスマとの関係についての中間報告書を1~2カ月以内に公表することを明らかにし、バイデンを牽制した。本当にバイデンが「本選で勝利できる候補」かどうか、再び民主党支持者の間で懸念が高まるリスクは消えていない。

3月後半、4月の予備選ではバイデン優勢の予想

一方、サンダースにも弱点はある。スーパーチューズデー以降、バイデンは本選を見据え、党内団結を呼びかけているが、サンダースはいまだにエスタブリッシュメントの攻撃に焦点をあてている。この戦略を引き続き推し進めると、もともとの支持基盤を固めることはできても、穏健派が急進左派よりも多い民主党でバイデンに勝てるだけの支持を拡大することには限界があるように思える。今後、サンダースが支持基盤拡大へ向けてどのように動くかが注目される。

3月開催の予備選を展望すると、125人の誓約代議員を選出するミシガンでは接戦となる可能性がある。だが、各州100人を超える誓約代議員を3月17日に選出するフロリダ、イリノイ、オハイオ、そして3月24日に選出するジョージアでは、いずれも最新世論調査によるとバイデンが優勢だ。4月開催のバイデンの出身地・ペンシルベニアやニューヨークなどの大きな州の予備選でもバイデンは優勢とされる。3月4日、ブルームバーグが撤退を表明し、バイデン支持にまわったことも「ジョーメンタム」を強めるだろう。

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