マウントゴックス倒産後に浮上した"疑惑" 消えたはずのビットコインを取引?
「システムに弱いところがあり、ビットコインがなくなった。みなさまにご迷惑をかけて、申し訳ございません」――。
仮想通貨「ビットコイン」の取引所を運営していたマウントゴックス(東京・渋谷)が経営破綻し、東京地方裁判所に民事再生手続きの申し立てを行ったのは2月28日。マルク・カルプレス代表は、同日の記者会見でこう述べていた。
それから3週間経ったが、東京地裁から再生手続きの開始決定はなされないまま。「一般的に、申し立てから1、2週間で開始決定が出る」(信用調査会社の関係者)と言われるが、3月20日に同社のコールセンターに問い合わせると、「いつ頃になるのか、はっきり分からない」と言う。
マウントゴックスは再生に向けた「スタートライン」にすら立っていない。
経営破綻後の動向
そうした中、取材で新たな事実が明らかになった。3月11日付けで東京地裁に対し、倒産後のマウントゴックスの動向が不可解だとして、債権者の代理人から「上申書」なるものが提出されたのだ。
上申書の中には、ビットコインの取引履歴を示す「COINSIGHT(コインサイト)」というウェブサイトの資料が添付され、3月7日~10日にかけて、マウントゴックスで少なくとも53万ビットコイン(約300億円相当)の取引の形跡があったと表示されている。
これについて、「再生債務者(マウントゴックス)の代表者(カルプレス氏)らビットコイン交換所への特別なアクセス権を有する者以外がなし得ないはずの、大量のビットコインの引出しに関するリクエストが行われております」と書かれている。
”特別なアクセス権を有する者以外がなし得ない”とするのは、民事再生の申請で同社の財産処分が禁じられているほか、ビットコイン交換所のアクセスが遮断され、一般ユーザーは取引できない状態にあるからだ。
マウントゴックスは経営破綻にあたり、ユーザーと同社自身が保有していた合計約85万ビットコインについて、「ほぼ全てがなくなっていることが判明した」と説明している。そのため、上申書は「消えたはずのものが、どうして取引できるのか」と言いたいわけだ。
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