米破産申請でわかるマウントゴックスの内実

顧客から預かった現実通貨まで消失した一部始終

世界最大のビットコイン取引所を率いたカルプレス氏(右)の経営は不透明、お粗末だった

仮想通貨「ビットコイン」の取引所「マウントゴックス」の破綻が波紋を広げている。運営会社のMTGOX(東京・渋谷)は9日(現地時間)、米テキサス州北部地区の連邦破産裁判所にチャプター15(外国倒産手続き)の適用を申請した。2月28日に日本で民事再生手続きを申し立てているが、現地で顧客から起こされた集団訴訟による財産差し押さえなどを回避しようとの目的だ。多くの謎が残る破綻劇に関し、米裁判所への提出資料などから、その内実が浮かび上がってきた。

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米裁判所への提出資料

注目すべきはMTGOXのバランスシートの詳細だ。すでに破綻時、27億円の債務超過に陥っていることが明らかにされているが、実情はもっと深刻と見たほうがいい。まずもって顧客からの預り金55億円が分別管理されていた形跡がない。さらに保有資産の資産性や実在性にも疑問符がつく。実は資産38億円のうち銀行口座にある同社名義の現金はわずか5億円しかない。

資産の部で目を引くのは、関連会社への貸付金8億円と、銀行以外に保有するとされる顧客からの預り金14億円弱である。それらの名目で多額の資金が社外に流出していたのは、MTGOXの危うい成り立ちと深い関係がある。

杉並区の自宅アパートで事業開始

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倒産時の財務状況はこうなっていた

一時、世界最大の取引量を誇ったMTGOXだが、その成長過程は世間一般が持つ取引所のイメージからは程遠い。日本在住フランス人のマルク・カルプレス氏が別の外国人からビットコインの取引システムを買収したのは2011年2月ごろ。カルプレス氏はその1年半前、杉並区内の自宅アパートでIT関連のTIBANNEなる会社を始めたばかりで、設立時の資本金はたったの10万円だった。

11年8月、事業受け皿会社のMTGOXを資本金500万円で設立するが、取締役はカルプレス氏一人だけ。従業員もおらず、実際の業務は委託契約を結んだ形にしてTIBANNEのスタッフが行っていた。そんな心許ない態勢だったが、にわかにビットコインバブルが盛り上がり、MTGOXには世界中から顧客が殺到したのである。

暗号化された電子データである仮想通貨がインターネットで瞬時に世界中を移動することは電子メールと同じで当たり前。問題は各国に散在する顧客から現実通貨での引き出し請求があった場合どう対応するか、だ。これをMTGOXは擬似的な資金決済ネットワークを泥縄的に作ってしのごうとした。日本法人のMTGOXが海外で口座を開設することはできない。そこで、カルプレス氏やTIBANNEの出資で多数の関連会社を海外に作り、銀行や送金業者に口座を開設し、国際的な資金移動を行おうとした。

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