家族4人で52万円! 沖縄スマホ販促の壮絶 局地的に「キャッシュバック」が過熱

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ただし、沖縄セルラーも黙っていなかった。2012年10月以降にキャッシュバックキャンペーンで追随。すると、純増シェアで逆転し、すぐさまトップに返り咲いた。また、スマホと光回線のセット割引「auスマートバリュー」の対応エリアを拡大してアピールを強化。ドコモはこの間も高額キャッシュバックを継続していたが、順調にユーザーを獲得することができた。

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沖縄のドコモショップのチラシ

一方のドコモは苦しい。13年4~6月期から3四半期連続で純減傾向が続く(沖縄セルラー推計)。アイフォーンを導入したものの、沖縄では防水機能を持つアンドロイド携帯が人気という事情もあり、浮上のきっかけをつかめていない。そこで、3月商戦では何とか巻き返したい、というのが本音だろう。3社とも「他社が高額なキャッシュバックをやる以上、対抗しなくてはならない」と、引くに引けない状況になってしまっている。

3月16日を最後に"停戦"の方向へ

はたして、今後の販売戦線はどうなるのか。足元では変化も現れはじめている。沖縄に限った施策ではないが、ソフトバンクショップは3月17日以降、他社から番号を持ち運んで乗り換えるMNP転入ユーザーに対し、端末1台当たりのキャシュバックを最大5万円から3万円程度に引き下げている。ドコモも「長期ユーザーを重視する方針は変わっていない。今後は縮小する方向で考えている」(広報部)。「金額などの詳細は決まっていないが、auも縮小する方向だと聞いている」(販売店)などと各社とも縮小を検討しているようだ。

それでも、懸念は残る。何しろ、キャッシュバックの効果は絶大だ。先週半ばには「総務省の指導によって、各社のキャッシュバックが減額される」といった情報がツイッター上を駆けめぐり、これを聞きつけたユーザーは15日(土)、16日(日)とショップに殺到。「他社へ乗り換えるユーザーが来店し、かなりの販売実績となった」(大手販売店)。

また、表面的な金額を減らしても、「○カ月使用料無料」など、別の割引サービスを加え、実質的な割引額を維持するケースも目立つという。激戦区である沖縄セルラーの北川社長も「17日以降も競争環境はまったく変わっていない。割引策も見極めながら、他社に合わせていく」と警戒を緩めていない。一度始まった消耗戦からは、各社ともなかなか逃れられないようだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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