新型コロナ「企業活動も止める」深刻すぎる影響 8割超の担当者が物流・調達の支障を明かす

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フォルクスワーゲンも中国にある工場の再稼働を延期した。トヨタとホンダは広州の工場を一部ながら再開したが、フル稼働にはいたっていない。中国からの部材が集まらない影響で日産自動車九州は稼働率を下げている。ヒュンダイ、マツダも同様に中国からの輸入がネックで生産に影響が出ている。

東日本大震災の際、BCP(事業継続計画)が叫ばれた。自社工場が万が一、災害に見舞われた際の対応に加えて、調達先が災害に遭った際の対応策も練られていた。調達先の二重化や、在庫化や、代替生産の調達先を選定していた企業もある。しかし、実際には金型をすべての部材で二重に作製するコストをかけられるはずもなく、さらに多量の在庫を持つわけにもいかず、さらに中国全土がストップしてしまうとは、さすがに予測できなかった。金型を中国から他国に移管しようとしても、それを運ぶ人もいない。

各社ともかなり手詰まり感と焦燥感に支配されている。

回答者の88%が「影響あり」と回答

なお、著者の属する企業では緊急で、各日本企業に、新型コロナウイルスのサプライチェーン・物流・調達影響についてアンケート調査を行った。約1万3000人のサプライチェーン・物流・調達関係者を対象に送付した。

結果、10%程度から回答が寄せられたうち88%が、「新型コロナウイルスの影響がある」と回答した。正確には、70%が影響あり、18%が調査中との回答だったものの、調査中ながらほとんどの企業が「部材の遅延は生じている」と回答していたため、合算の88%を影響ありとカウントした。代表的な声は下のとおりとなる。

(1)一次、二次、中国取引先の生産停止
 ●一次中国サプライヤーの生産停止(作業者不足等)
 ●一次中国サプライヤー窓口不在により情報確認できず
 ●二次中国サプライヤーの生産停止(作業者不足等)
 ●二次中国サプライヤーの状況把握困難
 ●一次中国サプライヤーが商社の場合、業務停止に伴い、二次中国サプライヤーへ発注不可、二次への支払い遅延
 ●防塵マスク等の入手不足により再稼働できず
 ●中国の各省から工場再稼働認可がなされない
 ●最終出荷前の(日本企業による)同席検査できず停滞
 ●一次中国サプライヤーが工場停止のため、資金繰りが悪化し、工員不足、二次中国サプライヤーへ注文できず
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