ソフトバンクG「大赤字決算」が映す根本的難題 戦略的持ち株会社としての戦略は大きな後退

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ブルームバーグ・ビジネスウィークの2019年12月23日号はソフトバンクグループを痛烈に批判していた(筆者撮影)

ソフトバンクグループ(SBG)の2020年3月期第3四半期決算説明会が2月12日16時から行われた。2月6日にアメリカのヘッジファンドのエリオット・マネジメントがSBG株式を25億ドル(約2740億円)以上取得したことが明らかになり、さらに決算発表の前日の11日にはSBG傘下でアメリカの携帯電話4位スプリントと3位Tモバイルの合併計画を連邦地裁が容認する判断を示したというニュースも流れていたなかで、大きな注目を集める決算発表となった。

長年にわたってSBGの戦略や動向を分析してきた筆者としては、今回の決算発表前から着目していたポイントは主に以下の3点だった。

今回の決算発表の3大ポイント

(1)四半期決算としては過去最大の赤字(約7000億円の営業損失)を計上した2019年7~9月期の連結決算発表(2019年11月6日発表)を受けて、今回の業績そのものはどのようになったのか

(2)昨年11月発表の決算において大きな懸念点とされた「WeWork(ウィーワーク)問題」に加え、SBGが出資するインドの新興ホテルチェーン、オヨ・ホテルズアンドホームズなど、他の不動産関連企業の投資案件やビジョン・ファンド事業全体はどのように推移しているか

(3)SBGがすでに投資企業としての性格を強めているなかで、中核事業であるビジョン・ファンド第2号の組成状況はどのようになっているのか。

まず決算。12日の発表資料によると、本業の儲けを示す営業利益は全体で前年同期比99%減の25億8800万円となり、純利益も同92%減の550億円だった。SBGは、国際会計基準に則って未実現利益(評価益)を営業利益として計上してきた。それ自体はルール上のことではあったが、投資先企業の株価や想定株価が下がると、営業利益が営業損失に反転してしまう恐れも指摘されていた。これが実際に顕在化したのが2019年7~9月期と今四半期連結決算だったわけだ。SBGは実態的にも投資会社となり、「営業利益のボラティリティーが高い」企業になったと捉えるべきであり、今後も同社決算は大きな利益の変動を伴うものになることが予想されるところだ。

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