サイバー藤田社長、プロレス買収「2度目」の賭け AbemaTVでスポーツ分野を続々強化

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1月29日夜に行われた記者会見にはサイバーエージェントの藤田晋社長(右端)や、DDTプロレスリングと、今回サイバーが買収したプロレスリング・ノアの社長を兼務する高木規(三四郎)氏(右から2番目)ら経営陣が登壇した(撮影:尾形文繁)

またもやプロレス団体の買収に踏み切った。

サイバーエージェントは1月29日、プロレス団体「プロレスリング・ノア」を運営するノア・グローバルエンタテインメントの全株式を取得し、子会社化すると発表した。取得額は非公表。同社によるプロレス団体の買収は2017年9月のDDTプロレスリング以来2度目となる。

サイバーの藤田晋社長が肝入りで投資を続けているのが、インターネットテレビ局の「Abema(アベマ)TV」だ。約20あるチャンネルのうちの1つである「格闘」チャンネルでは定期的にDDTの試合を中継するほか、選手がレギュラー出演する番組を放映している。

藤田社長は29日夜の記者会見で、「DDTのグループ入りから2年が経ち、アベマTVにとってプロレスのコンテンツとしての魅力や絵力には強く期待している」と話した。

DDTとノアの相乗効果に期待

今後はノアの試合もアベマTV上で中継していく方針だ。「DDTには面白さがあり、ノアはかっこよさがある。互いの強みを生かして相乗効果が上げられると思う。両方を取りそろえることで、映像コンテンツとしての魅力が上がる」(藤田氏)。

今年1月4日に東京・後楽園ホールで開催されたプロレスリング・ノアの主力選手である潮崎豪選手(右)と若手の清宮海斗選手の試合の様子 (C)プロレスリング・ノア

現状、アベマTVの格闘チャンネルの主力コンテンツは、昨年の年間番組ランキングでも3位に入った那須川天心選手と亀田興毅選手の対決などのボクシングや、同じく8位に入ったK-1だ。DDTの試合中継は月に1~2回にとどまっており、視聴者数増への貢献度はまだ小さい。

「資本力がついた買収からこれまでの期間は、先行投資のフェーズだった」と、DDT幹部は話す。実際、同社の直近2019年9月期は純利益段階で赤字だ。自社動画配信サービスの開発や、選手の待遇改善、会場演出の強化などに費やしてきた。ただ、今回ノアが同じグループに加わったことで、今後はアベマでの中継や関連番組の放映を本格的に増やしていく方針だという。

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