グッチ、シャネル、ヴィトンの華麗な社会貢献 奨学金、女性支援から環境問題まで

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シャネルやヴィトンの取り組み

さて、ここでランキング2位と3位のブランドの主な活動も、簡単にご紹介しておきます。

まずは、シャネルの活動です。シャネルには、“Pygmalion days”という活動があります。この“ピグマリオン”という言葉には、才能を信じ、支援して、開花させるという意味があるそうですが、生前のココ・シャネルは、無名時代のピカソ、ストラヴィンスキー、ルキノ・ヴィスコンティ、ラディゲ、ジャン・コクトーなど、さまざまなアーティストのパトロンとして彼らを支えました。そのスピリットに基づき、シャネルの銀座店内にあるシャネル・ネクサス・ホールを、若手のアーティストに演奏する場として提供し、定期的に演奏会も開いています。

続いて、ルイ・ヴィトンの活動です。ルイ・ヴィトンの表参道店内にもエスパス・ルイ・ヴィトンというスペースがあり、さまざまなアーティストの展覧会などを行い、芸術支援を行っています。そのほかにも、震災で被害を受けた三陸地方の養殖業や水産業の復興支援を行う「森は海の恋人運動」のサポートや、坂本龍一氏が創立した社団法人モア・トゥリーズの協力を得て、長野県小諸市に「ルイ・ヴィトンの森」をつくり、環境問題にも取り組んでいます。

高級ブランドが社会貢献を行う理由

これはファッションに限ったことではありませんが、ラグジュアリーブランドという社会的地位をもつ企業が、社会に配慮し、また貢献する時代がやってきています。今回は、スペースの関係ですべてをご紹介することはできませんでしたが、すでにさまざまな高級ブランドが具体的なアクションを起こしています。

ファッションというと、浪費や消費という自己中心的なイメージがありますが、逆にファッションのもつパワーを使って、社会貢献をしているブランドも数多くあることをお伝えできれば幸いです。そして、消費者も購買という行為を通し、その企業を応援し、そのおカネは回り回って、世界のどこかでサポートを必要としている人々を支援する、という循環ができつつあります。

素敵なものを買って自分もハッピーになれるけれど、その行動が世界のどこかの誰かをハッピーにすることができる。そういうサークルがこれからもたくさんできて、いろいろな活動をサポートできるようになれば、高級ブランドやファッションも、よりハッピーなものになる時代がくるような気がします。

ナオヨ マディソン ファッション ジャーナリスト

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ナオヨ マディソン / Naoyo Madison

青山学院大学 国際政治経済学部卒業。大手総合商社に入社し、配属先の繊維本部で欧州系インポートブランドを担当。その後、パリ ソルボンヌ大学に留学する為に渡仏。帰国後は、ラグジュアリーブランドを扱うセレクトショップでアシスタントバイヤーとして勤務した後、イタリア系ブランドのジャパン社に転職。数社にてキャリアをつみ、MDバイヤーとして活躍。現在は、ジャーナリストとしてロンドンやパリをはじめとする国内外のファッションショーをまわり、ランウェイレポートやインタビュー、ファッションビジネスを中心とした記事を執筆する。

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