日本株急伸に戸惑うマーケット

材料見当たらず、短期筋仕掛けの思惑?

3月6日、日本株は後場急伸したが、短期筋による仕掛け的な買いとの見方も多く、市場には戸惑いもみられる。写真は都内で昨年12月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 6日 ロイター] -日本株は後場急伸したが、市場には戸惑いもみられる。欧米株と比べ出遅れ感が強く、割安感もあったが、日経平均<.N225>を300円押し上げるような材料が見当たらず、短期筋による仕掛け的な買いとの見方が多い。

ウクライナ情勢が小康状態になっていることで、追加緩和期待などを背景にした長期投資家の買いが入っている可能性もあるが、商いは依然薄く、盛り上がりは乏しい。

薄商いのなかでの急伸

6日前場の日経平均<.N225>は56円高に過ぎなかったが、後場は一時305円高まで上げ幅を一気に拡大し、1万5200円台まで上値を伸ばした。ドル/円<.N225>が併走する形で102円後半まで上昇したことで、日本株も伸びを加速させたという。

ただ、大幅高につながるような材料が特段観測されたわけではなく、市場では困惑する投資家も多い。厚生労働省の社会保障審議会年金部会が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的年金の運用方針について「あらかじめ国内債券中心を示す必要はない」との報告を示したが、午前中のニュースであり、材料とするには無理がある。

市場では、相場にこう着感が強まり始めたなかで、短期筋による仕掛け的な先物買いが入ったのではないかとの見方が多い。「米雇用統計を控えて様子見ムードが広がる中、短期筋が一気に仕掛けてきたのではないか」(国内証券)という。権利行使価格1万5000円のコールの建玉が約3万枚あり、オプション売りポジションを持つ投資家の先物ヘッジ買いとの観測もある。

アイザワ証券・投資リサーチセンター長の飯田裕康氏は「後場に入って特段材料があったわけではないが、2月25日の高値1万5094円の水準を上抜けたことで投資家心理が急速に改善し、一気にリスクオンが進んだ」と指摘。「上げを主導したのは短期筋による先物への仕掛けだ。1万5000円強の水準を超えたところでさらにリスクオンが進むと読んだ短期筋が、それを見越して上方向に仕掛けたと思われる」と話す。

ソフトバンク<9984.T>が4.85%高、ファーストリテイリング<9983.T>が1.83%高と大きく上昇したことも「仕掛け的な買い」観測を強める要因だ。ファナック<6954.T>を含めたこの3銘柄は日経平均への寄与度が大きく、短期筋が日経平均を押し上げるときに使われることが多いと市場ではみられている。東証1部売買代金も2兆円をようやく超えた程度であり、マーケット全体が強気に傾いた様子はまだない。

上昇の「地合い」は十分

もっとも、日本株には上昇しやすい「地合い」も出来上がっていた。アベノミクスに対し、海外投資家が関心を低下させているとの指摘もあるが、日本のマクロ経済や企業業績は今のところしっかりしている。過去最高値を更新する米株などと比べ、出遅れ感も強まっていた。

足元の日経平均採用銘柄の予想一株利益は約1000円だが、市場予想通りに来期10%の増益が期待できるのであれば、1100円に上昇する。株価収益率(PER)15倍でみれば1万6500円が視界に入るレベルだ。1万5000円水準に割安感を感じる投資家がいても不思議ではない。

12月日銀短観における大企業製造業の2013年度の想定為替レートは96.78円。「現時点では今年度6割増益見通しだが、想定為替レートからすると、さらに上積み余地がある。さらに来期10%程度の増益が見込めるとすれば、足元の割安感はかなり強い」(SMBCフレンド証券・チーフストラテジストの松野利彦氏)と強気な声もある。

年初から続いていた外国人投資家の売りは止まっている。現物株と、先物(TOPIX、日経225、日経225ミニの合計)を合わせた合計では、2月第3週に今年初めて、現物株、先物ともに買い越し(計3172億円)となり、前週も小幅ながら合計約140億円のプラスだった。

ウクライナ情勢がいったん小康状態に入ったことで、海外の長期投資家がリスクを取りやすくなった可能性もある。実際、6日の市場ではトヨタ自動車<7203.T>やソニー<6758.T>など主力の輸出大型株にも買いが入り、コア30<.TOPXC>は規模別でトップの上昇率だった。

金融緩和がリスク投資の追い風になるとの期待もある。「長期の経済停滞、デフレ、輸入減少による経常黒字がユーロ高誘発と、欧州が日本化するおそれは十分にある。一度デフレに陥れば抜け出すのは容易ではない。足元の経済指標がそれほど弱くないとしても、今晩のECB理事会で追加緩和が決定される可能性はある」と、T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は話す。

ECBが追加緩和を決め、クロス円主導での円高が進めば、来週10─11日の日銀決定会合での追加緩和期待が高まる可能性もある。

ウクライナや中国の情勢を含め、地政学上の不透明感が晴れたわけではない。寒波の影響を除いた米経済の「実力」もまだ見えない。あくまで期待先行の買いであり、失望リスクには常に警戒が必要だ。

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