「本末転倒な選考」がまかり通る時代は終わった データで判定、「就活テクニック」も無意味に

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人事間で話していると、選考の主流は面接から、どんどんインターンシップに移行しつつあることを感じています。

なぜなら、インターンシップでは、長い時間学生と接することで、学生の素の状態を見ることができますし、課題解決のワークや、実際の仕事の一部を実体験してもらう様子を見ることで、学生の実務能力をしっかり見ることができるからです。

インターンシップでの選考を体験してしまうと、「いかに面接ではちゃんとした見極めができないかということがよりわかる」と言う人事担当者もいます。

また、インターンシップでの選考を軸にしている人事担当者からは、「面接では見極めをしていない。面接は、完全に口説きと動機形成の場」という声も上がります。面接で見極めをしない企業もあるのです。

データだけで判定する時代がくる?

また、適性検査を重視するという人事担当者もいます。SPIなどの適性検査のデータについて分析をしてみると、その会社や部署ごとに、活躍している人材の特徴がわかりやすく出るといいます。その特徴に沿った人材を採用し、活躍する確率が高くなったというのです。

「就活生の動機形成には人の力が必要だが、見極めという部分においては、人よりデータのほうが信頼できる部分がある」と言っていました。いずれはAIが発達することで、企業で活躍している人材データの精度と、学生データの情報収集精度を高めていけば、見極めはデータだけで十分に成り立ってしまうのかもしれません。

インターンシップによる実務や、適性検査などによるデータ上での見極めを重ねて、活躍人材の採用精度を高めることが選考の主流になれば、面接の見極めとしての役割がほぼなくなっていくこともありえます。

そうなると、コミュニケーションスキルに長けて、一定の時間だけいい雰囲気を醸し出せる、いわゆる「面接上手」な学生が得をすることはなくなるでしょう。

そして、その企業にとって必要な能力を持つ学生が、より選ばれやすくなるでしょう。むしろ能力主義のより厳しい環境に向かっているともいえるのです。

内定を得るためのテクニックを磨くのではなく、そもそもの人間力や、自分が好きなことや得意なことに伴う技術や知識に磨きをかけることが、より重要になっていることを強く感じています。

豊川 晴登 人材ビジネス企業 人事・採用担当

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とよかわ はると / Haruto Toyokawa

1974年生まれ。ベンチャー、中小、大手上場企業など複数の企業に勤務し、小売、金融、保険、アウトソース、人材等の事業領域で人事を中心としたキャリアを積む。事業責任者、上場企業の執行役員等の経験を経て、現職に至る。GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

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