年末調整で見落としやすい7つの節税ポイント 5年前に申告し忘れた所得控除も活用できる

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ここまで読んで、「該当する控除があったのに、手続きをしなかった……」と気づいた人もいるでしょう。「生命保険料控除証明書などの書類が見当たらず、時間もないから申告しなかった」という人もいるかもしれません。

そんな場合も、諦める必要はありません。対処法をお伝えしましょう。確定申告をすれば控除を受けることができるのです。

2019年の分については、2020年の確定申告時期に申告すれば、2020年の住民税に反映されます。また2018年より前の分にも申告漏れがある、という場合も大丈夫です。控除を受けられる翌年から数えて5年以内であれば、確定申告をして控除を受けることが可能です。

「数年前に離婚して寡婦になった」「数年前から親に仕送りをしている」というような人は、過去5年分の控除が受けられるのです。これを「還付申告」と呼びます。確定申告の時期に限らず、いつでも申告の手続きができます(年末調整でなく、確定申告での申告漏れの場合は「更正の請求」という手続きを行います)。

「つみたてNISA」などで、節税したお金に働いてもらう

こうして節税した分は、より有効に使いたいものですね。ここで、もう1つ、具体的な対処法をお伝えしましょう。

例えば、iDeCoによるおおよその節税効果は年末調整を待たずとも計算できます。また住民税については、翌年の税額が軽減される仕組みであるため、節税できたことが実感できず、知らない間に使ってしまうということにも注意が必要です。

どの程度の節税になるかを前もって確認し、節税できる分は「つみたてNISA」(一定期間、運用益非課税で積立投資ができる制度)などを使って資産形成に回すといいでしょう。

井戸 美枝 ファイナンシャルプランナー

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いど みえ / Mie Ido

神戸市生まれ。 関西と東京に事務所を持ち、年50回以上搭乗するフリークエントフライヤー。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。『世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)、『知らないと損をする国からもらえるお金の本』(角川SSC新書)、『現役女子のおカネ計画』(時事通信社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)『親の終活、夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)など著書多数(ホームページ​経済エッセイスト井戸美枝FBページ)。

 

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