有能な上司ほど「部下に期待しない」理由 期待値が高いことは「百害あって一利なし」

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部下への期待値を下げるメリットを3点挙げてみましょう。

① 部下の「小さな成長」が見つかり自然と「褒める」ことができる。
② 部下の改善点を「叱責」ではなく「指導」することができる。
③「言い方」が変わり、部下が育つ。

1つずつ見ていきましょう。

① 部下の「小さな成長」が見つかり自然と「褒める」ことができる

例えば、部下の仕事に対して、「何も知らない新卒がこの仕事をしたとしたらどうだろうか?」とイメージしてみてください。自分の部下への期待値が下がるのがわかりますか? さすがに仕事を何も知らない新卒に比べれば、部下の仕事の質は高いのではないでしょうか。

きちんとイメージできれば、その仕事の「いいところ」が見つかるはずです。

「前に伝えたここはできているね!」「ここはよくできているよ!」そうやって、部下の「小さな成長」に気づくことができ、自然と「褒める」ことができるようになるのです。

おまけに、期待値を下げると、苦手な人が多い「褒める技術」も自然と身に付いてしまうのです。

② 部下の改善点を「叱責」ではなく「指導」することができる

部下の仕事はもちろん完璧ではありませんから、改善点が必ずあると思います。ここで期待値が高いと、「なんでこんなこともできないんだ?」と叱責したりするわけですが、期待値が低ければ、「できなくて当たり前」です。「なんでできない?」ではなく、「できないのが普通」。

このスタンスで捉えることができれば、改善点に対して「ここの部分は以前伝えてたんだけどわからなかったかな?」「これができるともっと助かるんだけどな」と、できていない部分に対しての指摘もマイルドになり、改善に導くことができます。

期待値を下げると、改善点の指導が上手になります。

③「言い方」が変わり、部下が育つ

上記のように、実は、期待値が高すぎる場合と低くした場合とでは、「言い方」が違うだけで、伝えている中身は同じです。

できているところを「ここはできていて当たり前」と冷たく切り捨てるか、「ここはできているね!」と明るく成長を分かち合うかの違いであり、できていないところを「なんでできないの?」と詰め寄るか、「できていないのが当たり前、ここができればもっといいよ」と寄り添うのかの違いです。

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